歯がぬけたよ! [Ⅱ-440]
先日、2年生がとても嬉しそうに歯が抜けたことを教えてくれました。「ここだよ。」と言って、抜けた前歯を見せてくれました。隣にいた子が、私も!と、歯を見せてくれました。その人たちの様子から、成長の喜びを感じました。
以前に編集をした『学年別子ども詩集「どんなもんだい! 2年生」』(本の泉社発行)の5巻には、「3 は! ハ! 歯!」の章をつくり、子どもの歯にかかわる詩を掲載しました。以下に紹介させていただいた詩は、すべて『「どんなもんだい! 2年生」』から引用させていただきます。
はがぬけた 西村 実紗
上の歯ばが/ゆらゆらでとれそうだ。
お母さんが
「もうぬけるで。」/と言って手でぬこうとした。
わたしは口を大きくあけた。
お母さんがぬこうとしたとき
お兄ちゃんが/足のうらをこそばした。
おかしくってわらったけど
お母さんは/手をはなさなかった。
こそばくって/うごきまわったけど
それでも手をはなさない。
「こそばいー。」
ってさけんだら
すっぽんとはがぬけた。
ぼくのは うつみ さとし
おととい、/ぼくのはがぬけたんだよ。
はをね、/つくえにおいといたんだ。
そしたら、/つくえをふくときにね、
はもふいちゃったんだ。
つくえはきれいになったけど、
はがなくなっちゃった。
下のはだから、
上になげようとおもってたんだ。
へんなはがはえてきたら、
いやだな。
ぬけた前ば 中越 澪弥
ぼくの前ばがぐらぐらしてきた
今にもぬけそうだ
おじいちゃんがぐらぐらしたはに/白糸をむすんだ
その糸のもう一方のはしをぼくの右の手首に/むすんだ
なぜかおじいちゃんが風船をふくらませた
「そりゃあ、れいや」
おじいちゃんが風船をなげた
ぼくは、左手でうちかえした
こんどはおばあちゃんがなげた
そのしゅんかん
右手でうちかえしてしまった
あっという間に前ばがきれいになくなった
みんなで大わらいした
絵も詩集から引用させていただきました
もうかんぜんに はぬけだ! 小森谷 しゅん
ぼくはもう、七本 はがぬけて/三本はえています。
はぬけだ!
知っている人とかにはなしかけると、
「あっ、はがぬけてる。」/と言われてます。
もうやだなあ。
歯 し水 こう太
はがぬけない。
ぜんぜんぬけない。
ちっともぬけない。
おまけに大人のはがよけて出てきてしまった。
早くはがぬけてほしい。
さわってぬけたことはあるのに、/さわってもちっともぬけない。
べろでさわったら大人のはにさわれてしまう。
ごつごつしていた。
いますぐぬけてほしい。
は くねざき きょうか
きょうか、はが/ぬけるのがおそいの。
1年生のときは2本ぬけたけど、
2年生になって3本目がぬけた。
そしてやっと4本目がぬけた。
あとひといき5本目
おいついたかな6本目
今は6本ぬけた。
うれしかった。
『高知県子ども詩集 やまもも』を読んでいたら、「はが ぬけた」一年生のはるとさんの詩に出あいました。はるとさんは、下の前歯が二本もぬけて、
「とうもろこし」を「はのかわりに 入れてみた」そうです。そして、「いつのまにか/とうもろこしは なくなった/いたいけど/ちょっと おもしろかった」と書いていて、笑ってしまいました。
子どもたちは、歯が抜けたことを教えてくれます。話を聞くと、紹介した詩のようにその人その人の物語があります。
その物語を別のことばで、私の考えをつなげて言えば次のようになります。子どもたちのことばのなかに具体的事物との体験が組み込まれている、思いがことばのなかに宿るプロセスが豊かであることを大切に感じています。このようにして、子どものことばが豊かに育つことを願っています。