私たちらしく学びをすすめていきます~「地球市民の時間」と外国語の学習~[Ⅱ-214]
2020年度より本格実施する外国語の教科化(5・6年生)と外国語活動(3・4年生)についてです。桐朋小学校では、外国語の学習を「地球市民の時間」という枠組みの中に位置づけ、桐朋小学校らしいねらいを持ちながら新たに取り組んでいきます。
冬・園庭での子どもたち
1.桐朋小学校の「地球市民の時間」とは
「地球市民の時間」は、子どもたちがこれからの未来を地球市民として、世界の平和や持続可能な未来のために考え行動できる人に育つ、その土台となる学びの時間です。具体的には外国語・外国語活動(英語)や、総合と社会科の多文化共生教育・国際理解教育の分野の学習を、広く包括的に「地球市民の時間」と呼んでいきます。
本校では、これまでも総合や社会科の授業で、平和、環境、SDGs(持続可能な開発のための17の目標)、子どもの権利条約*などの学習に取り組んできましたが、今後はそれらの学習も「地球市民の時間」に位置づくことになります。私たちは、学ぶということは、ただ知識や技術を獲得するだけでなく、その後の人生におけるものの見方や考え方を創っていくことであると、考えています。
*子どもの権利条約は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約。子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を定めています。2019年11月20日に採択から30年を迎えました。
冬・畑で生き物を探す子どもたち
2.桐朋小学校の「地球市民の時間」で大事にしたいこと
この「地球市民の時間」の学習において大事にしたいことは、大きく次の2点と、それに続く各分野の3点です。
■多様性を尊重し、世界の人々とともに、地球市民として世界の平和や持続可能な未来のために考え、行動できる人を育てる。
■多様な言葉、コミュニケーション、文化に対する感性と能動的な態度を育てる。未知のものとの出会いや、新しい学びをおもしろいと感じる学習姿勢を育てる。
□人との出会いを通じて、多様な言語・文化・生き方に心を開く。(多文化共生教育)
□世界に目を向け、戦争・紛争と平和、SDGsなど、現代的課題を考える。(国際理解教育)
□多様な言語・コミュニケーション・文化を尊重しつつ、一つのツールとしての英語を学ぶ。(外国語)
冬・今年も園庭で、れもんが育っています
3.「地球市民の時間」における 国際理解・多文化共生教育の学習と具体的な取り組み
3年生から6年生までそれぞれの学年に応じて、総合と社会科では国際理解・多文化共生教育に取り組みます。
地球的規模の課題が山積する現代において、子どもたちが未来に向かって、世界の平和や持続可能な未来のために考え、行動する地球市民となりゆくための教育は、とても大事なことだと考えています。
国際理解・多文化共生教育では、外国の人々と実際にふれあう経験を通して、多様性を尊重し、そのことを積極的・肯定的にとらえる力や学習姿勢を育てていきたいと考えます。同時に、多様な中にも共通性や普遍性があることに気づき、同じ地球の仲間として共に未来を生きていくための土台を創っていきます。
具体的な取り組みとして、まず、中学年では「人と出会う、ものと出会う」ということに取り組んでいきます。英語圏のみならず、自分の日常の環境にはない言語・習慣・文化をもって生活している方々と触れ合うことで、異文化との出会いから興味を深めていきます。内容は、「外国の人と出会おう」、「その国のものと出会おう」「日本のことを伝えよう」などです。
高学年では、中学年で学習したことを踏まえて「地球市民として育つ」ことを目指していきます。世界の子どもの生活・習慣・文化などを切り口に、戦争・紛争と平和、人権、環境の問題などの現代的課題やSDGsの学びと、それらを学ぶことの意味を深めていきます。また、外国のことや世界の子どもの生活を知る・そこから考える・調べる・何らかの形で表現したり交流したりする、などの活動をします。
冬・しぜんひろば、園庭でよく育つなつみかん
4.「地球市民の時間」における 外国語(英語)の学習と具体的な取り組み
これまで桐朋小学校の外国語活動は、「コミュニケーションを大切にし、楽しいと感じられる英語体験」を大事に考え、行なってきました。その中で子どもたちは、活動を楽しみ、外国人講師やゲストの方々と触れ合ってきました。
来年度から新たに始まる外国語(英語)の学習では、3~6年生まで授業の中で、学習指導要領に示される外国語の内容を精選し、専門の外国語講師より集中して学びます。併せて、年2回の特設授業で、英語を母語とする外国人講師とふれあい、コミュニケーションの楽しさを体験します。このようにさまざまな活動を組み合わせて、総合的に学習を進めていきます。