7月中旬『桐朋教育』発行。特集は「評価」② [Ⅱ‐305]
7月発行『桐朋教育』の「美術の取り組みと評価」原稿を読みました。6年生平和ポスター、4年生トウキョウダルマガエルの取り組みと作品からの評価論が書かれていました。
昨年12月、6年生ヒロシマ修学旅行
平和ポスターでは、「(作品を提示して)ポスターとしては、左側のものの方が、デザイン的に、形をまとめたり、構成をしているので完成度が高いと考えることが多いといえるでしょう。でもポスターの「人に呼び掛ける、訴える」という目的を考えて評価を行うなら、負けず劣らず右側のものも素晴らしい作品だといえるのではないでしょうか。/両者の取り組みは、左側の子は物静かに黙々と図柄をまとめ上げ、冷静に落ち着いて制作を進めていました。また右側の子は、発想の段階で試行錯誤が多く、いろいろ下書きを書いて、悩みながらこの図柄にたどり着きました。両者の取り組みはスタイルは大きく違えど、それぞれに熱心な取り組みだったといえると思います。そのような取り組みの様子も踏まえ、授業で制作した作品の一つ一つはそれぞれに子どもたちの想いがあふれ、表現されているものなのです。」と書かれていました。
「熱心な取り組み」「取り組みの様子も踏まえ、授業で制作した作品の一つ一つはそれぞれに子どもたちの想いがあふれ、表現されている」と捉えています。その子の対象への意識や感覚、認識、思考と作品としてのあらわし、取り組みの過程、満足感、その子との対話などを大切にされていると学びました。それから、その子のこれまでの取り組みを踏まえて、どんな成長が見られたのかなども知りたくなりました。
トウキョウダルマガエルを対象にした取り組みでは、「子どもたちは、ただ見て観察するのではなく触ったり、持ったり、逃げたのを追いかけたりしながら、カエルを感じます。あのカエルを持った時の感触は、持った人でないとわかりません。あの臭いにおいも嗅いだ人でないと、本当にはどのようなものなのかは、わからないのではないかと私は思います。とにかく子どもたちは、触ったりつかまえたりしながらこの生き物を感じ、観察するのです。」と書かれていました。
実際に触る(触ろうとしても触ることができない。やった、触れた!)、感触をもつ、感じる、味わう、(全体、部分、気に入ったところ)よく見る、驚いたなどの心の動き、そのような子どもが感じる世界を豊かにしようと試みているのがいい、大切だと思いました。それが表現する世界を豊かにしていくと考えます。
それから、「子どもの感覚的に描かれた絵は、形は本物らしくありませんが、感覚的にそう描いたのは「わかる」っていう感じがおもしろいですね。あと、論理的でなく、手先もそこまで器用ではないので、不思議で面白い形も生まれやすいです。/高学年になってくると、次第にこの感覚的な表現だけでは自分自身も納得できなくなり、客観的論理性のある表現と、自分の感覚的表現の違いに悩み始め、人によっては、うまくいかないと感じることが多くなり、美術が得意でないと思ってしまうようです。そのような成長による変化が常に起こっている子どもたちなんだという意識はこちらも常に持っておかなければいけないと思います。」など、考えたい課題も示されています。
「評価をする側も人間で、必ずしも正しくないのではないか」という(最大限のベストは尽くしても)ことを念頭に置いて書かれていることも執筆者らしさを感じました。「美術の取り組みと評価」を読み、私たちらしい取り組みと評価を考え、深めていきたいと思います。
もうすぐ七夕。たくさんの願いが飾られています