2023.9.25

ロマナ・ロマニーシンさんとアンドリー・レシヴさんの来校➀ [Ⅱ-360]

9月22日、『戦争が町にやってくる』(ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作、金原瑞人訳、ブロンズ新社、2022年)に関わる人たちが桐朋小学校に来てくださり、6年生との授業をつくってくださいました。ありがとうございました。

1、ブロンズ新社 若月様からの願いを受けとって

ブロンズ新社 若月様からご提案をいただきました。それは、「小社で2冊の絵本を出している、ウクライナの絵本作家、ロマナ・ロマニーシンさんとアンドリー・レシヴさんが、9 月に来日します。滞在中に、彼らの訪問講演会を、桐朋小学校でお引き受けいただけないでしょうか」ということでした。

若月さんによれば、ロマナさんとアンドリーさん(上記写真)は、『戦争が町にやってくる』という世界 24 言語に翻訳されている素晴らしい作品を描いた作家です。彼らは、戦争下で果敢に作家活動を続け、ウクライナから各国へ避難している子どもたちへの支援活動も展開してきました。9月、わざわざウクライナから来日してくれるのですから、ウクライナの現状や、戦争下における絵本の役割など、二人の生の声を、できるだけ広汎に、子どもたちや読者に届けたいと私たちは考えています、と話してくださいました。

また、ロマナさんとアンドリーさんは、長期化し、硬直化している戦争の中で、希望を持ち、未来に向かってよりよい世界をつくっていこうと闘っている作家です。桐朋小学校の子どもたちと先生に、ロマナさんとアンドリーさんと交流する機会を設けることを考えてくださいました。

 図書室前の本の紹介コーナーより

2、授業から (今後、その➁でお伝えします)

➀お2人から、絵本のことやウクライナのことなど

絵本の主人公は、「デリケート」で「壊れやすい」ものにされたそうです。そして、「大変なことを迎えた時、意思をもって強くなる」という願いを込めたことがわかりました。

 主人公の一人ダーンカは、本書より撮らせていただきました

絵本には、現在のウクライナも描かれていました。お2人が見せてくれた写真から町が攻撃を受けたものや170年の歴史をもつガラスハウスなどもありました。

 以下、全てロマナさんとアンドリーさんの写真

ウクライナの写真の中で、毛布のようなものでくるんでいる写真がありました。それは、「破壊されないように毛布でくるむ」こと、「破壊されたら欠片を集めて再生する」ことだと知りました。町を3Dデジタルで記録し、再生に向かっていることも知りました。

ホテルが攻撃により壊され、再生されている写真の紹介では、子どもたちから、戦争中なのにどうやって再生できたのか、人や物はどうしたのかなども質問がありました。子どもたちの質問を通して、理解が深まりました。

戦争がはじまってわかる日常の大切さ、かけがえのなさも伝わりました。

➁お2人の話を聞いて感じたこと、考えたこと ⇒ 子どもたちの感想、意見をあらためて受けとめて、後日掲載させてもらいます。

③やりとり(の一部)

絵本をかくなどでは、戦争を思い出して辛いのでは? 悲しい、心痛い。命を落とした人もいます。今こわいけれど、明るい希望をもちます。何もしないと辛いです。

「アート」として、戦争の終わりを近づけようとしています。住み家と親を失った子の支援をしています。

戦争の後、完全には元に戻りません。

3、授業にかかわった皆さん、ありがとうございました

皆さんが、6年生の人たちを認め、応答し、たくさんほめてくださいました。ありがとうございます。

●ロマナさん、アンドリーさん、話をしてくださってありがとうございます。

ウクライナから、外国に出ることの困難さ、たいへんさを話してくださいました。それでも、お2人は来てくださり、絵本のこと、ウクライナで起きていること、子どもたちの様子などを教えてくれました。子どもたちの質問に対して、質問をありがとうとまず言ってから、こたえてくださいました。

●ブロンズ新社の皆さん、このような機会をつくってくださってありがとうございます。

本をつくり、社会にひろげてくださって、ありがとうございました。本を通して、私たちは知り、感じ、考え、話し合うことができます。また、絵本を通して、作者や訳者、通訳者の皆さんとの出会いを持ち、すばらしい時間をいただきました。

●通訳者の中井さん、参加者をつなげてくださりありがとうございます。

ロマナさん、アンドリーさんと私たちをつなげてくださいました。お互いを理解し合うことができました。また、通訳という素晴らしい仕事を見せてくださいました。

●訳者の金原さん、本のすばらしい世界をありがとうございます。

ロマナさん、アンドリーさんのつくった本を、私たちが読み、感じ、考え、話し合うことができました。図書室には、金原さんの訳された本がたくさんあります。私たちは金原さんの訳から、本のすばらしい世界に出あっています。

 図書室内の本の紹介コーナーは、金原さんが訳した本を紹介

●マスコミの皆さん、授業をみてくださり、ありがとうございます。

子どもたちのことをいろいろと考えて発言していると認め、励まし、ほめてくださいました。そして、こうした学びの機会を大切にしようと受けとめ、取材をしてくださいました。今後、こうした学び合いをひろげてくださると思います。

「ロマナさんは、『戦争が始まってから、平和な日常の大切さを知りました。空襲警報が鳴るまでの間を楽しめるように、家族や友人たちと過ごす大切な時間を作るようになった』と説明した。アンドリーさんは、「『本当に戦争中なのか』と思うかもしれないが、笑顔で頑張らないといけない」と語った」、「私たちはアートという武器を持っています。この戦争を終わりに近づける努力をしています」(26日、読売新聞朝刊文化欄『平和な日常の価値 絵本で訴え ウクライナ作家2人来日 小学生らと交流』より)

皆さんは、子どもたち、私たちに、すばらしい仕事(の意味を)を伝えてくださっていると、私は思います。

*ロマナさん、アンドリーさんは、「文化」「アート」の力を述べていました。本書に引き寄せれば、主人公は「デリケート」で「壊れやすい」ものにされ、「大変なことを迎えた時、意思をもって強くなる」という願いを込めていました。こうした困難時の強い意志を「文化」「芸術」から伝えていきたい願いを受けとめました。それから、戦争中に「紙に触れる」ことの大切さなども話してくださり、心に残りました。あらためて、本をもとにいろいろな出あいをつくり学び合うことができるすばらしさを感じました。

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