桐朋小だより

2025.12.23

5年生6年生

修学旅行報告会を行いました

10月に広島へ修学旅行に行った6年生。事前に学校でも、東京大空襲を経験した方々にお話を伺ったり、戦争の歴史などを学んだりしてきました。

実際に現地へ行った際には、原爆ドームや様々な碑、平和記念資料館を見学したり、被爆者の証言を聴いたり、大久野島へ行って毒ガス製造の歴史を知り、日本の加害の歴史を学んだりなど、本当にたくさんのことを肌で感じることができました。

毎年6年生は、そこで学んだこと、感じたことを持ち帰り、グループごとにまとめて「修学旅行報告会」を行っています。報告する相手は、保護者、そして来年平和学習に取り組む5年生です。

先日の半日研究会(年に数回、低中高学年それぞれにつき1クラスが午後残り、研究授業を行っています)では、この報告会が5年生に向けて行われました。

 

今回の報告会では、6年生は3人1グループになり、それぞれで伝えたいことを紙のスライドにして、3人の5年生に伝えるという方式を取りました。20分間の報告ののち、対話の時間も設けられ、「あなたが考える平和とは?」などのテーマについて、自由に語り合いました。最後に5年生からの感想を聞いて報告会は終了。

 

6年生の報告を聞いていて感じたことは、現地に行って実際に肌で感じながら学んだからこその、実感を伴った学びをしてきたのだなということ。自分の言葉で、戦争の恐ろしさや、自分たちがおかれている状況がいかに幸せかということ、どうすれば平和をつくっていけるかということなどを語っている姿がとても印象的で、また頼もしく感じました。

低学年から、国語などで平和教材を扱ってきてはいるものの、詳しい被害や、特に加害のこと(毒ガスのことなど)はまだ学んでいない5年生。初めて知ることも多く、時には質問もしながら、とても真剣に話を聴いていました。来年、自分たちがどのようなことを学び、そしてそれをどのように周りに伝えていくのか、感じることのできた時間になりました。

 

 

<6年生「私にとっての平和とはなにか?」>

・私にとっての平和は、みんなで助け合うことだと思います。(中略)けれど、ただ助け合うだけではいけません。たとえば、戦争を始めると言われ、あなたも戦ってと言われ、国のために戦いに行くのは、助け合いとは思えません。そうではなく、自分が間違っていると思ったことを伝える、そしてそれを受け入れてもらえるような世界になれば平和が生まれるのではないかな、と思いました。

・私は、報告会で改めて考えたことがありました。それは、自分は戦争を体験していなくても、同じ地球上で起こっていることをみんなで考えて伝えていく必要があると思います。(中略)「私にとっての平和とは」というテーマのスライドを、私のグループは入れましたが、そこに書いたことは、「1日3食のご飯が食べれ、学校に行けて・・・」など、生活のことを書いていたけど、今度その問いを聞かれた時には、「同じ過ちを繰り返すことがないように、私たちが考えて伝えていく必要がある」と付け加えたいなと思います。報告した側だったけど、学んだこともたくさんありました。

・「好きなことを好きなときにできる世界」

今の時代は昔とくらべたらすごく平和で、逆に戦争が起きてしまったら自分たちはどうなってしまうのだろうかという不安が、今までより強くなった気がします。だから、好きなことができる今が、ずっと続けばいいなと思います。

・笠岡さんのお話では勉強できることが幸せと言っていました。ぼくは今、むりやり働かされることもないし、食べ物もあるし、安心してすごせる環境があるから本当に幸せだと思う。笠岡さんは、両親が亡くなった後、「おかえり」と言ってくれなかったことが悲しいと言っていました。ぼくは、家に帰ったら、父か母が「おかえり」と言ってくれるし、ごはんも食べられるというごくふつうのことがあるのが幸せだと思う。

・平和とは、って一人ひとりに答えがあるから、他にも自分が平和だなと思うことはいっぱいあるんだけど、努力したいなと思っているのは、自分の考えをちゃんと持って周りに流されないように頑張りたい。(中略)これまで戦争について学んできて、それが日常の一部になってきてるから、終わっちゃうのはさみしい。でもちゃんと努力して新しく日常の一部にしていきたい。

・私にとっての平和とは、戦争もなく、衣食住があることだと思います。今の核兵器は日本に落とされたものよりももっと強力になっているので、どこかの国同士が戦争して原爆を落とし合うと、他の国にも大きな影響が出るし、地球が大変なことになってしまうので、そうならないためにもすべての国が核兵器を持ってはいけないと私は思います。今日本は戦争をしていないけれど、また戦争が起こってしまいそうで私はこわいです。そうならないためにも、戦争の悲惨さ、怖さ、どんなに平和が大切か、それを伝えて、もう二度と戦争を繰り返さないように私たちが頑張らなければいけないと思います。

 

<5年生「報告会の感想」>

・今まで原爆ってこわいなぁくらいのイメージだったけど、今日の話を聴いて本当にあった出来事で、どのくらいひさんで、すごい被害だったかわかった。それに今まで知らなかった、韓国の人の話や大久野島の話、さだこさんの話が知れて、本当に戦争って悲しいことなんだと思った。

・なぜ関係ない子どもや大人も戦争に巻き込まれないといけないのだろう?悪いのは、戦争をやった国どっちもだ。国のえらい人たちは、子どもっぽいのかもしれない。今、私たち5年生でもわかっている「話して解決すること、暴力をふるわないこと」を、真っ先に大人がやっている。

・日本は被害だけを語っている。例えば、一人と一人がケンカして、自分はやられたことだけを話すような感じだ。それを大きくしたものが、戦争だと思った。

・6年生の話を聞いたことで、戦争についてくわしく知ることができた。広島に落とされたたった一つのもの(原爆)で広島の人口の5分の1の人がなくなってしまったと思うと、すごくおそろしいと思った。それから、日本も毒ガスなんてよく作ろうと考えたと思った。原爆を落としたことも、毒ガスをつくったことも、その発想が出てしまうこと自体、戦争はしちゃいけないことなのだとわかった。

 

<6年生が制作したポスター> *実際に現地でスケッチした絵を元に描きました。

 

 

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