子育ての現実と願い [Ⅱ-155]

 先週、保護者のみなさんと学習会を行いました。内容は、子育ての現実と願い、桐朋幼稚園で大切にしていることなどでした。保護者同士が交流のゲームをしたあとに、子育てで困っていることや心配なこと、大切にしていることを出していただきました。それを付箋に書いていただいて、見合いました。

 3歳の子の保護者の方からは、〇わがままをきき過ぎたのか、気に入らないことがあると意見が通るまですねること。結果、言うことを聞いてしまうこと。 〇折り合いがつかないと、イライラして怒ってしまう。 〇わがままと機嫌が悪いときの対処の仕方にとても迷い中です。頑固で我が強くて困っています。 〇親が感情的にならないようにすること。 〇「いや」「だっこ」やごはんを食べさせてほしいが最近多くなってきているので困っています。 〇おしり、おなら、うんち。発言が多くなった。食事中は困ります。 〇自分をあとまわしにしないで、遠慮やまわりを気にせずに、自分をおさえないで前向きに行動できるように応援したい。 〇特に集団生活がはじまり、周りに迷惑をかけていないか、私自身の方が気にしすぎてしまうこと。など、たくさんの心配、困っていることが出されました。

 お互いの心配や困っていることを見合ったときには、「うちもあるある、みんな同じ悩みを持っていたんだ…。」/「みなさんも子育てについて色々と悩んでいることがわかり、自分だけではないことを知りました。悩みも自分と同じものもありました。」/「どうしても自分には自信がなく、他の保護者の方を傍から見ていると、しっかりしていて完璧だなと勝手に思ってしまうけど、みんなそれぞれ悩みがあったり、子育てについて考えたり、同じなんだなと思って安心しました。特に『母親も頑張りすぎない』と書かれた言葉に共感しました。」/「困っていること、悩んでいること、うまくいかないこと等、毎日反省したり落ち込んだりの繰り返しで、つい自分だけと思ってしまいがちでした。他のお母さん達もそれぞれに苦労があり、子どもと向き合いながら頑張っていることが改めてわかり、気持ちがラクになりました。その時はどのように乗り切っているのかを話す機会があればぜひ聞いてみたいと思います。」などの感想が出されました。

 子育ての心配や悩みはつきません。一人で抱えこまないで、同じ子どもを育てるもの同士、不安や悩みも語り、知恵を出し合い、差さえ合っていきましょう。みなさんと子どもを育てる豊かなコミュニティーをつくり、ひろげていきたいです。

 少し、おおよそ3歳や4歳の子どもについても考えてみます。龍谷大学の白石正久教授の発達論(『発達の扉』など著書多数)にたくさん学んでいます。

〇おおよそ3歳児くらい ※個人差の大きいことも捉えておきましょう。
 2~3歳頃は、「お兄ちゃんのようになりたい」など、大きい自分を求めてやまない心が高まり、そのようにならない自分との間で、悩んだり、葛藤するときがあります。そうしたときに、〈しっかりすること〉、〈がんばること〉を求められたりしたら、「いや」など反抗してしまうことがあります。
 はじめての場面で、ものかげに隠れて見たり、「はにかむ」様子もあります。そのことは、新しい出会いを積極的にしたい前向きの心のあらわれと捉えてみてはどうでしょう。また、「ほんとうは、○○したかったんだよね」など、心のなかの前向きな葛藤をことばにして伝えてみると、その子は自分を認められた気持ちをもち、よりよい自分を選びとりたい願いを育てていけるようになると思います。

〇おおよそ4歳児くらい ※個人差の大きいことも捉えておきましょう。
 最後に、「指すい」のことに触れましたが、なかみは話せませんでした。ごめんなさい。
 4歳頃に、少しむずかしい課題に挑もうとするとき、「できるかな、できないかな」の心の波動が、手にあらわれることがあります。強がってみたりしても、手の動きには内面の葛藤があらわれることが見られます。
 みずから表現したいけれども、表現の力がおいつかないこともあります。そのときに、「早くいいなさい」「何が言いたいの」などと言われてしまったら…。子どもは、「えーと」「それで」…、指すいも見られます。
 指すいは、相手の話を聞き ながら思いをめぐらすという「ながら」行動がとれるようになった証とも言われています。

 自分が尊重してもらえたおもいをもつこと。「どうして大人のいうことを聞かないの」と叱る前に、子どもの今のがんばりを尊重し、「よりよい自分」を選べるよう選択肢をつくってあげることが大切だと考えます。「自分で最後までしたい」願いを尊重しつつ、つまずいたときには、いつでも「いっしょにがんばってみようね」と支えてあげたいですね。

 さいごに、最近読んだ『ルポ 保育格差』(小林美希著、岩波新書)に書かれていたことばから。
「子どもは、今の時間に意味があるから生きている。明日のために今を生きるわけではない。どんな幼い子でも、自分のやりたいこと、やっていることに意味がある。玩具の取り合いにも理由がある。その理由や葛藤という子ど もの内面の世界を掴むこと」(佐貫浩法政大学名誉教授)を大切にしたいです。

 

消防車 写生会を行いました

 

消防車の写生会を2、4年生が参加して行いました。まぢかで見る消防車はとても大きくて、子どもたちも大興奮。消防車をよく見て一番描いてみたいところをみつけました。2年生は、ダイナミックに描けるようにチョークで下描き、4年生は、緻密に描けるように鉛筆で下描きをしました。持っていたクレヨンが溶け出すほどの、とっても日差しの強い日でしたが、子どもたちは集中してがんばっていました。今日の時間で書ききれなかったところは、今後の美術の時間で仕上げを行います。

学校説明会へのご来校ありがとうございました。

第1回学校説明会にご来校下さり、ありがとうございました。お待たせしてしまったり、時間が長くなってしまったり、不手際など行き届かない部分も数多くあったかと思い、申し訳なく思います。今回は、新しい試みとしてAグループとBグループを設定しました。ご来校下さった皆様の声を大事にしながら校舎見学を行いたいと願い、実施させていただきました。いかがでしたか。

皆様のご意見ご感想を真摯に受け止め、少しでも学校の雰囲気を感じていただける説明会にしていきたいと思っています。ありがとうございました。

第1回学校説明会受付時間について

第1回学校説明会の受付時間について

Aコース受付時間 12:45~13:00

Bコース受付時間 13:30~13:45 です。

恐れ入りますが、あまり早く到着することのないようにご配慮いただけますと幸いです。ご来校の際は、受付時間内でよろしくお願いします。

当日、予約画面より受付表をプリントアウトしてご持参ください。

また施設見学は室内です。上履きかスリッパをご持参いただけますと幸いです。

 

4月よりはじまった3歳児の世界 [Ⅱ-154]

 桐朋幼稚園では、3歳児の一年間で「毎日幼稚園に来る」「幼稚園に慣れる」「やりたい遊びに出あう」「やりたい気持ちを満喫する」「自分でやるたのしさを知る」こうしたことを大切に生活していきたいと考えています。

 幼稚園に登園するのも10数回目。この間に、友だちに出あい、保育者に出あい、保育室の遊具に出あい、家具に出あい、園庭の遊具に出あい、砂場に出あい、裸足で土をふみしめる感触に出あい、畑の虫に出あい、木の実に出あい、ドロドロの仲にひたる感触に出あい…。全身を使って、五感を働かせ、その時々にその子が感じる「やりたい」という遊びに出あいはじめています。

 

 特に、泥、土、水、砂の感触に触れ、徐々に心と身体を解放させている様子があちこちで見られるようになってきました。泥、土、砂、水は、変幻自在にそのイメージを変えることができます。「豆乳のおさとうたっぷりのココア」「チョコどろケーキ」「おさとうコーヒー」と、食べ物のイメージで遊んでいたのが、しばらくすると、工事現場に変わり、「空まで届くくらいの山づくり」に変わったり。

 

 今は、ひたすら手や足で触りながら、その感触を試し、確かめ、たのしんでいる様子です。保育者と会話しながら、イメージを膨らませていく子、ひとり黙々と自己対話をしながらその面白さに向き合っている子、友だちの様子を見て模倣することでたのしむ子もいます。泥、土、水、砂の遊びへの取り組みの様子も、よく観察すると、子どもたちの様々な向き合い方を感じることができます。

 保育者は、その姿をとらえながら、子どもたち一人ひとりへの働きかけの声のかけ方、援助のしかたを考え、探っていきます。その子その子の「いま」を大事に、その子のたのしむ世界を尊重しながらかかわっていくことを大切にしています。(『たんぽぽつうしん』7号より)

えん足という名のぼうけんだ!

2年生の遠足は、祖師谷公園に歩いて行きました。2年西組の山川先生は遠足が楽しみで楽しみで、なんと、『えんそくというなの ぼうけん』という歌をつくり、クラスで子どもたちと歌っていました。
そんな、2年西組の学級通信『わくっ!どきっ!』を少し紹介します。

「いよいよのえん足の日。てんきは、ほどよいくもり。えん足びよりの一日になったね。えん足どうだった?たいへんだった?まずは、たくさん歩いたね。それから、はるのくさばなをさがして、ビンゴたいかい。かんさつをしたね。みんな、よ~くさがしていたね。パーフェクトの人は、まだの人におしえてあげたり、ほかにもさがしたりしていたね。「おたから」をみつけている人もいたね。虫や木のみをはっけんした人もいたね。こうちょうせんせいや、いい田せんせい、ふくながせんせいにきいている人もいたね。みんな、一生けんめいさがしていたね。

おべんとう、ともだちとこえをかけあって、食べていたね。みんなのおべんとう、おいしそうだったな~!おかしも、おいしそうなものがたくさんだったね。

そのあとは、げんきよく、いろんなあそびをしていたね。さかをゴロゴロする、ゴロゴロたいけつ。こおりおに。アスレチック。たんけん。どんじゃんけん。とってもたのしかったね。

かえりは、へとへとになりながら、がんばってかえったね。
さいごは、ついてきてくれたせんせいたちに、しっかりおれいをいえたね。
たくさん歩いて、かんさつして、あそんで、まなんで、ぼうけんみたいにたのしかったえん足だったね!」

先生も楽しみにしていた遠足。子どもたちと一緒に、大人も一緒に学んだり遊んだり、あっという間の時間でした。

第1回学校説明会追加募集枠は満席になりました。

大変申し訳ございませんが、満席となりました。ご都合のつかなくなったご家庭はキャンセルの手続きをお願いします。
また、追加募集とA,Bコースの重複予約はできません。どちらか一方にして下さい。重ねてのお願いで恐縮ですがキャンセルが出ると予約が可能になります。よろしくお願いします。

ある生徒の現実と公費助成の取り組み [Ⅱ-153]

 先日、本校では、『私たちは私学を選びました』(2017年 私学助成小中学校協議会発行)というパンフレットを配布しました。その内容は、「教育を受ける権利は平等」、「私学助成や私学生への就学援助」は「憲法の心そのもの」、「保護者の素朴な疑問からはじまった50年の歩み」など、とても大切なことが書かれています。5月PTA総会をはじめ、いろいろな機会に学び合いたいと考えます。

 

 日本の私学は、新しい教育を構想、実践した歴史をもちます。教育の公共性と私学における独自性を大切にし、社会的責任を果たしています。桐朋学園の「桐」には、教員養成の総本山ともいうべき大学(東京文理科大学、東京高等師範学校の校章)とともに、戦後の新しい教育のあり方を探究したいという願いがこめられています。そして、「一人ひとりの人格を尊重し、自主性を養い、個性を伸長するという、ヒューマニズムに立つ『人間教育』」(1947年制定 教育基本法の精神)を教育理念に据えています。

 ここからは、私学に通う高校生の現実をもとに、人権としての「安心」や「学ぶ権利」と公費助成の大切さを考えてみたいと思います。

 大阪の私立高校に通うAさん。この学校には、五年一貫の看護師養成コース(看護科)があります。看護科では3年の高校教育課程と2年の看護専攻科過程を履修し、国家試験に合格することで正看護師の資格を得ることができます。先生によれば、最も少ない学費と時間で正看護師になれることから、経済的に苦しい家庭の生徒が多くいるそうです。また、府の育英会の奨学金を約半数が受給しており、「働いて、金を稼げる資格をとりたい」というのが志望動機になっているそうです。
 「私の家庭は母子家庭で生活保護をもらっています。受験の時、私学を受けることを悩みました。 私学はお金がとてもかかって、とても母に迷惑をかけてしまっています。自分の将来のために私学の5年一貫の看護科に一生懸命勉強して合格したのに、お金のことで悩むのは辛いし、母の苦しそうな顔はもう見たくないです。」
「私の家庭は母子家庭で生活保護をもらっています。生活保護をもらっている人が私学に行くなんて…って何度もいろんな人に言われました。でも、母はいろんな制度を調べてきてくれて、お金を用意してくれました。私が私学に行くことで家族みんなに迷惑をかけているなと思うととても胸が痛いです。私はただ勉強をして看護師になりたいだけなのに…。お願いです、税金を無駄に使う知事がたくさんいるなら、私学の学費に充ててください。」
 この文は、Aさんが公費助成を訴えるはがきのメッセージとして書いたものです。

 Aさんは、修学旅行に行きませんでした。「本当は修学旅行に行きたい。でもそれをお母さんに言うことができない。」修学旅行の費用を保護者が積み立てていることを知っており、参加しなければ、約10万円の積立金が返ってくることもわかっています。家庭の困窮状態を考えるとそれを生活費に充てるべきだと考えていました。先生は、「家庭を背負い、苦しみ、不本意な選択をするAさんを見て、私も泣いた。しかし、Aさんはすぐに、涙を拭き「ありがとう。話してくれて」と言った。こちらのことを気遣っているのだ。私にとってはそれが辛かった。なぜこんなにもこの子が苦しまなければならないのか。子どもが子ども時代を生きることができない現実。彼女は子どもでありながら ″ 大人″なのだ。経済的貧困が学ぶ権利を奪うとはこういうことなのだと改めて思い知らされた。」と言います。

「たんぽぽ」親子でお昼を

 「貧困の状態で育つ18歳未満の子の割合が13.9%」(厚労省)など、大きな課題があります。そのような社会状況を学ぶとともに、具体的、現実的な姿(Aさんら)より学び、私たちが改善できる取り組みをすすめていかなくてはならないと考えます。

「たんぽぽ」親子で遊ぶ会に、4月に誕生した赤ちゃんも

 Aさんについて、大阪の高校で社会科教諭の中村竜司さんにお話を伺い、実践の記録を『作文と教育』2018年5月号№861(本の泉社)に書いていただきました。

新入生をむかえる会

「1年生のみなさん、入学おめでとう。
2年生と5年生に入学式で迎えてもらったと思うけど
今日は桐朋小学校のみんなが全員集まって1年生の入学をお祝いします。
1年生のみなさん、楽しみにしていてください。
そして、2~6年生のみなさん、新入生へのお祝いの気持ちを
出しものに込めて、全力でやりましょう。」(代表委員のあいさつ)

入学式から1週間がたちました。
学校内を探検する新入生を見守っていた在校生たちですが
今日はいよいよ正式に出会う場です。

きれいなプラカードに先導されて6年生と入場してきた1年生。
4年生の『パフ』の歌とリコーダー演奏、
3年生の『きりなしうた』の群読、
代表委員のクイズなど、楽しいことがいっぱいありました。

1年生が張り切って見せてくれた『あたま・かた・ひざ』のうた遊びは

とても可愛らしくて、在校生も思わず手が動いていました。

みんなで歌った『はじめのいっぽ』では、5年生がリコーダーを吹いてくれました。
最後にパートナーさんから、手作りのお手紙ケースをもらいました。

毎日使うたびに、うれしい気もちになることでしょう。

子どもたちの学力実態を把握し、成果と課題を取り出すことは大切です [Ⅱ-152]

 2018年4月17日、文部科学省「平成30年度 全国学力・学習状況調査」(小6、中3対象。以下「全国学力調査」と記す)が実施されました。
 報道によれば、国公私立の小中約3万校で約213万人が参加(島根西部の学校は地震の影響により、後日参加)。国語、算数・数学に、理科(3年ぶり)も加えた3教科で実施。結果は7月に公表。この調査は、2007年度に始まり(東日本大震災の時は中止)、今回が11度目です。

 調査のねらい(文部科学省HP)は、
◇義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る
◇学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる
◇そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する
です。
しぜんひろばで蛙を発見!
 桐朋小学校は、子どもの発達にあわせた教育課程の自主編成教育を大切に行っています。
 扱う単元で重点とするところ、じっくり時間をかけて学ぶところを明確にし、必要に応じて単元の組みかえなどを行っています。
 ですから、私たちの自主編成教育にあったテスト、調査などを行うことが大切であり、この全国学力調査には参加をしていません。
 
 私たちのテストに対する考えと評価です。
 子どもたちの学力実態を把握し、成果と課題を取り出すことは大切です。
 桐朋小学校では、5、6年生全員に対し、春と秋に「学力実態調査」を実施します。また、どの学年も単元テストなど行ない、学力の実態把握、成果と課題の取り出し、カリキュラム、授業、指導などの改善に結びつけます。そのような取り組みを大切にしています。
 
 私たちの評価についての考えです。
 私たちの学校には通信簿がありません。このことは子どもを評価しないということではありません。評価は、その子らしさを認め、励ましていくことだと考えます。
 一人ひとりの子が自分の良さや課題がわかり、自ら取り組むことを大切にします。テストは、その子の、そして私たち教師の課題を明らかにし、共有していくためのものです。点数をあげるためにテスト問題を繰り返し、テストのための教育をするようなことはしません。
 子どものよさは数値で評価できるものではありません。年に2回行われる個人面談が、親と教師が子どものよさを発見する大切な評価の場です。
教職員AED講習の様子から
 私学の独自性。
 私学は、独自の教育理念と教育内容を持ち、学力調査やテストの内容や進度、範囲とは異なる場合があります。私たちが参加しない理由の一つは、私学の独自性からです。
 
 実際に、全国学力調査の問題をみてみました。ぜひ子どもたちと学びたい、考えたい問題がありました。
 これまでの全国学力調査では、たとえば、成績が全国平均以上だった校長名を公表することなどがありました。「序列化や過度な競争が生じないよう配慮が重要」と実施要領で定めたことが守られていない実態がありました。そうしたことは改善されていく必要があります。
「かめが 2ひきに ふえた!」(3歳児の発見!)