藤井輝明さんと小柳敏志先生への感謝 [Ⅱ-184]

  先日、藤井輝明さんが来校してくださり、6年生の授業に向けての打ち合わせをしました。私は、藤井さんの著作を題材に、授業を試みたことが何度もあり、いつか藤井さんに来ていただきたいと願ってきました。

 藤井さんは、桐朋高校30期卒業生です。2歳の時に「血管腫」という病気になり、顔が大きく腫れあがってしまいました。外に出ると、行きかう人たちの突き刺すような視線や「バケモノ」などという心ない悪口も浴び続けたそうです。転校先の桐朋学園小学校(国立)では温かく迎えられ、桐朋中学高校で学び、自信をつけていったそうです。現在まで、桐朋の仲間と繋がっている喜びを話してくださいました。

 1月末に亡くなられた前理事長の小柳敏志先生が、桐朋教育と藤井さんのことを次のように話されたことがありました。

「明日を生きる若者に関わり、教育を行っている者として、まず何よりも、個の尊重すなわち様々な個性と特徴をもったそれぞれが一人ひとりの人間として尊重され、大切にされること。それが何より大事であるという考えを一人ひとりの児童、生徒、学生にしっかり持ってもらいたい。

 桐朋の卒業生で医学博士の藤井輝明さんという方がいる。何回も学校に来ていただいているが、その際、藤井さんは、子どもたちに次のような内容の話をされた。
 自分と違う人を違うと言って嫌ったり遠ざけたりしない。ハンディキャップを含めてお互いの個性を認め合う。これこそ、他者、個性の尊重であり、21世紀の社会がめざすべき平和な社会の姿であろう。
 目の前に苦しんだり、つらい思いをしている人がいる時に、そのことを自分に関係ないと思わずに、自分に何かできないかと問い、できることをする。自分もいつか何かのことで苦しんだりする。その時にこの経験がプラスになってかえってくる。一人で悩まないで仲間がいる、一人じゃないんだという気持ちが生まれる。どんなことでもたった一人の行動からはじまる。そのことが人の為になることであれば、大きな方向性が間違っていないのであれば、勇気を出して一歩を踏み出そう。やがて多くの人の共感を得て広がっていくことだろう。

 去年今年貫く棒の如きもの(高浜虚子)
 ハンディキャップを含めお互いの個性を認め、尊重され、目の前に苦しんだり、つらい人がいる時は、自分に何ができるかを問い、できることをする。そして他の人の協力を働きかけていく―― こうした積極的な個の尊重こそが、桐朋学園の教育にあたっては、去年今年貫く棒の如きものとして存在するのではないか。いやそうであらねばならないと思う。」

 小柳先生からは、小学校改革、幼稚園3年保育の実現など、たくさんの励ましをいただきました。また、社会情勢と教育の課題、そして桐朋教育で大切にすることなどを話してくださり、学ばせていただきました。小柳先生がお亡くなりになり、たいへん寂しい。先生が大切にされたことを実践の課題として引き継ぎ、桐朋学園の教育を少しでも発展させたいと思う。

 写真は、20分休みの子どもたち、新しくなるしぜんひろばの様子、美術展の様子。

みんなで上手になっていくぞ!

冬の体育はどの学年も器械運動があります。桐朋小学校の体育では、鉄棒運動、マット運動、跳び箱運動の3つの運動を横断的に学び、それぞれの運動で似た運動や動きを組み合わせて行うことで、よりよく学習することができるように進めています。

2年生では現在、こうもりふりおりに挑戦しています。1年生の時から、鉄棒での逆さ感覚を養ってきました。逆さ姿勢でのじゃんけんや、逆さにぶら下がった状態で少し前後にスウィングを加えてみたりして、自分の身体の動きを自分や友だちとたしかめながら学んできました。こうもりふりは、言わば逆さブランコ。スウィングが大きくなると、風を感じることができるようになります。

 

 跳び箱運動では、横跳び越しに挑戦しています。着地の向きを前方(進行方向)にするのと、後方(跳び箱の方を向く)にするのでは、空中での姿勢、跳び箱に手をついた直後の視線の向きに違いがあります。中には踏切の強さの違いに気が付き、意識する子もいます。こうして、運動をしながら試行錯誤し、友だちと共有することで学びが広がります。

2年生になると、運動の先取りがより可能なってきます。こうするとこうなる。こうするためにこうする・・・といった「こうする」の部分をあらかじめ意図して動きに取り入れることです。

個人差はありますが、上手い下手ではなく、友だち同士で声をかけ合い、一人ひとりの課題に寄り添いながら、学び合いが進んでいきます。「こうするといいよ。」「まずは、こうやってみよう。」「もっとおしりを上げられそう。」「多分いい感じ。」←「いや、手がピーンってしていなかったと思う。」

運動中は、自分の動きを可視できないので、イメージでしかありません。このイメージを自ら高めて運動を向上させていくことも大事な力ですが、ここでも友だちの客観視からのヒントがかなり有効です。(教員が撮影した動画をもとに一緒に学ぶことも取り入れています。)聞いたヒントを頼りにまたやってみて共有する。やってみて確かめ合う。一緒に学んで少しずつ上達していくことが見えやすいこともまた器械運動の特徴です。

  

 

「うれしい!」「悔しい!」「来週こそ!」「もっとやりたかった!」 そんな、学び合う姿に学習の魅力があると信じています。

中学生のミニコンサート

水曜のロング昼休み、プレイルームでミニコンサートがありました。

演奏したのは、桐朋女子中学の音楽班に所属する2年生のお姉さんたちです。

「小学生に楽器の魅力を伝えたい!ぜひみんなの前で演奏したいのです!」と相談を受けてから数カ月。日程がなかなか合わず大変でしたが、ようやく実現することができました。

初めての試みでしたが、楽器紹介も交えた小学生が楽しめるプログラムを工夫し、20分ほどのコンサートは盛況のうちに終わりました。

一番盛り上がったのは、オリジナル編曲による『桐朋かぞえ歌』。いつもはピアノの伴奏ですが、この日はいろいろな管楽器で豪華な響きになっていて、みんな大喜びで手拍子していました。「ひとーつ1年よ」から始まるこの歌は、七番「ななーつ中学よ」の歌詞がちょっと刺激的なのですが、当の中学生が演奏してくれるので、みんなで遠慮なく声を出していましたね。

忙しい中、打ち合わせや練習日程調整、楽器の調達など頑張ってくれたお姉さんたち。卒業生の頼もしい姿も近くで感じることもできて、嬉しいひと時でした。

1年生の感想を紹介します。

「いろいろながっきがしれてよかったです。もう1かい、ちがうのをききたいです。がっきをいろいろならいたいです。ミニコンサートではなくて、大きいコンサートをとうほうでみてみたいです。」

「きょう、オーケストラをききました。1ばんすごかったのは、とうほうかぞえうたでした。とくに、「ププップ ププププ ~」のところや、ほかにもたくさんのいい音がありました。しょうらい、オーケストラにはいろうかな?」

「中央線沿線私立小学校合同相談会」に参加します

2月17日(日)に、 中央線沿線の私立小学校が合同で相談会を開催します。場所は、国立学園小学校です。 時間は10:00~15:00です。本校のブースで教員が個別相談を行います。よろしければお越しください。尚、予約制ではありませんので、順番にご案内いたします。大変申し訳ありませんが、長い待ち時間となってしまう可能性がございますこと、あらかじめご了承下さい。 詳しくはこちらをクリックしてください。

6年生の自分史に学ぶ [Ⅱ-183]

 毎年、6年生全員に、自分史の課題を出しています。

 取り組みを通して、一人ひとりが、かけがえのない命に向き合ってほしい、自分自身の命の尊さを感じてほしいと思います。

 保護者の方には、子どもたちがたずねてきたら、時間をとっていただき、お子さんの命の誕生にかかわる出来事や思いを伝えてもらうようお願いしています。具体的には、お腹にお子さんの命が誕生したとわかった時のこと、食事はできたのか、食事や通勤などで苦労したことや気をつけたことはあったのか。どんどんお腹が大きくなってきた様子、お腹を蹴った時のこと、生まれそうになった時や生まれる直前の出来事、生まれた瞬間の様子や はじめて出会えた時のことなど。はじめて家に来た時のこと、食事のこと、しゃべった時のこと、歩いた時のこと、病気やケガなど忘れられない出来事。よく手にしていたもの、よくやっていたこと、思い出の写真や洋服や持ち物など、いろいろな話をしてもらえるようにお願いをしました。

 子どもたちは、保護者の方から話を聴き、へその緒、母子手帳、育児日誌、これまで大切にとっているもの(人形、タオル、靴など)、生まれた時の写真やはじめて○○した時の写真などを見ながら、まとめていきます。今年度も、子どもたちは一生懸命に取り組んでいました。

「僕は十二歳になった。体重は、この世に送り出された時の丁度十倍だ。まだ人生の一~三割程度しか生きていないが、例えば三五歳で亡くなったモーツアルトの三分の一は過ぎている。また、難病で苦しみ、生まれてわずかで亡くなる子どもも少なくない。だから、ここまで生きてきていることを奇跡と思い、両親に海よりも深い感謝をしたいと思う。」

「小さいころの自分を書いてきましたが、私は聞いていて結構はずかしかったです。一歳から五歳の記憶はあまり無いので、正直びっくりした部分もありました。長靴をはなさかったり、歌ったり踊ったりした時もあったり、本を自分で読んだり…。でも、お母さんが痛みに耐えながら私を産んでくれたことや名前にすごくうれしい願いをこめてくれたことには、改めて感謝したいなと感じました。やっぱり、こうやって健康に生まれ育つことは、当たり前のことでは無いし、大変なこともたくさんありながら子育てしてくれたことが、私はすごくうれしいです。この『自分史』は命の大切さ、お母さんがとても愛しながら育ててくれたことが知れた、とても良い機会でした。」

「私は何も覚えていないくらい小さな時の出来事ですが、お父さんとお母さんからこの出来事を聞いて、『生きているって当たり前のことじゃないんだな、生きていられることってすごいことなんだな』と思いました。もしその時の影響で、大好きなことが出来なかったり、それどころか学校にも通えず寝たきりになっていたりしたらどうだったろう、と考えると少しこわい気もします。自分の歴史をまとめることで、自分は生きているのではなく、生かされていると思い、大切に過ごしていきたいと思うきっかけとなりました。」

など、子どもたちは、いろいろなことに気づき、すごいなあと思います。

 一人ひとりの子(と保護者の方)から、ぼく自身がたくさん学ばせてもらっています。ありがとうございます。(写真はすべて幼稚園での様子から)

”たんぽぽ組”との触れ合い

 先日の20分休みのことです。図書の授業から1年生の子どもたちが戻ってくるのと同じタイミングで、幼稚園の先生が教室に来ました。そして、「いま、たんぽぽ組の部屋で“お店屋さんごっこ”をしているから、よかったら来てほしい!」とのことでした。子どもたちが全員戻ってきたところで、この話を伝えると、ほとんどの子どもが「行きたい!」と挙手してくれました。そして、みんなでたんぽぽ組の部屋へ行き、3歳児(4歳児)が遊んでいるところに参加。お客さんとして買い物を楽しみました。買い物をしている途中で、買い物袋が減っていることに気づいた1年生は、「買い物袋作ろうか?」と幼稚園の先生に声をかけ、幼稚園児と一緒に買い物袋を作っていました。作り方を知っている3歳児(4歳児)が1年生に袋の作り方を教えていて、1年生も小さい子の説明を、丁寧に聴いていました。

 次の日の朝、1年生から「今日も、たんぽぽ組の教室に行ってもいい?」と聞かれ、2日連続で遊びに行きました。以前から、「小さい子のお世話をしたい!」とクラスの子どもたちは言っていたので、お世話が好きなのはわかっていたのですが、自分より小さい子に目線を合わせ、幼稚園児を楽しませてあげようという気持ちに感心しました!また、幼稚園の先生からは、「絵本の読み聞かせもしてほしい」と言ってもらえたので、また今度、たんぽぽ組との交流の機会を作りたいと考えています。こういった活動ができるのは、この学校ならではだと思っているので、幼稚園児と小学生のかかわりを大切にしていきたいです。

子どもたちが生活する場所の安全を[Ⅱ-182]

 桐朋幼稚園、桐朋小学校では、2011年以降、子どもたちが土や砂で遊ぶ、活動する場所の放射線の測定をしています。(水質検査も定期的に行っています。地下100m以上の深さの地下水を使用し、安全な数値を記録しています。)主な測定場所は、幼稚園砂場、畑、しぜんひろば、小学校グランド砂場などです。今月は14日に、放射線の測定を行いました。

・園庭砂場(中央5cm)0.054μSv/h(マイクロシーベルト)、4月~12月まで0.04~0.05μSv/h 

・自然ひろば(池中央5cm)は工事のため、11月以降計っていません             

・小学校砂場(中央部5㎝) 0.057μSv/h、4月~12月まで0.04~0.06μSv/h  

・畑(水場から近くの畑) 0.029μSv/h 、4月~12月まで0.02~0.04μSv/h 

・自然ひろば入口メタセコイヤ下 今回は測定していません。4月~12月まで0.03~0.06μSv/h

 空間放射線量の値μSv/h×24h×365日で、年間積算の放射線の人体への影響量(Sv/年)を計算します。国の年間放射線積算量基準値=1mSv(1ミリシーベルト)で、今回で一番測定値の高い小学校砂場の年間放射線積算量を計算すると、0.057μSv/h×24h×365日=499.32μSv=0.499mSv(0.499ミリシーベルト)となります。

 測り続けているのは、子どもたち、私たちのためにです。福島の子ども、現在も避難をしている子ども、原発事故を忘れない、私たちが使用するエネルギーのことなど、自分自身の問題として考えていこうと思います。

 2011年より、福島県渡利にあるさくらんぼ保育園(福島原発から直線で約60㎞)さんと繋がり、少しばかりの支援をすすめました。一昨年、さくらんぼ保育園を訪問した時に、園庭にある線量計の数値は、私たちのところよりもかなり高い値でした。園外散歩では、事故後、いまだに除染されず、通れない道もありました。これはたいへん悲しいことでした。(2018年12月のやりとりでは、除染がすすみ、園外散歩の範囲がひろがったそうです。)原発事故後、福島の子どもたちの子ども時代が奪われた事実と、現在と未来を考え続けていこうと思いました。

 また、教務の先生よりいただいた本(『知ろうとすること。』糸井重里、早野龍五、新潮文庫)を読み、驚き、計測を続けようと思いました。本の中で、糸井重里さんが、「(1973年、)当時、東京にいた人たちは、何も知らずにフォールアウトの雨の中にいたんですね。」と語っています。早野龍五さん(物理学者、東京大学教授)は、「はい。ぼくは、当時、その事実に一番最初に気がついた数人の中の一人だったわけです。」、「1973年に中国が大気圏実験をおこない、東京に雨とともに放射性物質が降った。学生だった私はガイガーカウンターで人々の頭髪や衣服などを測定。その数値は、福島の病院で被ばくされた方々と同程度以上、都民の多くが被ばくしたはずだが、それによる健康被害は現在にいたるまで報告されていない。」と。「何も知らずにフォールアウトの雨の中にいた」など、決してあってはならないことだと考えます。

 ムクロジの実をとりたい! おちろっ! ムクロジの実の不思議さ、おもしろさを知っている子どもたち。

いろいろカルタを楽しもう!

 いよいよ3学期が始まりました。冬休み明けの子どもたちは元気いっぱいで、始業式の日には、目が合った瞬間に笑顔でこちらに駆けつけてきました。また、冬休みの思い出もたくさん話してくれました。そのなかに「おばあちゃんと一緒にカルタで遊んだ」という話があり、せっかくなので、クラスでもやってみました!カルタの種類はたくさんあり、「桐朋っ子カルタ」「江戸いろはカルタ」「ぐりとぐらカルタ」「あっちゃんあがつくカルタ」「お化けカルタ」などから、班ごとにやりたいカルタを選んで持っていき、班の中で読み札も読み、取ることもして、楽しみました。最初から細かくルールを設定してやるのではなく、子どもたち同士で話し合いながらルールを決めていくことで、様々な工夫も見られました。日本の伝統的な遊びに触れながら、読む学習にもつながっていくので、とても貴重な時間となりました。

 

 また、一人の子どもが、夏休みと冬休みをかけて、とても素敵なカルタを作ってきました。オリジナルの「とうほうカルタ」です。私も、読み札と取り札を見せてもらいましたが、入学してからこれまでのことがたくさん書かれていて、私たち大人も振り返ることができました。いくつか、みなさんにも紹介します。どの読み札も取り札も力作で、素晴らしいカルタが完成しました!

 
 

転編入試験(2019年4月入学)を行います

2019年4月入学の転編入試験は、以下の学年で行います。

① 新2年生 男子2名

② 新5年生 男子1名、女子1名

いずれも、試験日は2月16日(土)です。詳細は、募集要項でご確認ください。募集要項・入学願書は、1月21日(月)~2月7日(木)、学園窓口にて配布します。(無料)

 

なお、学園受付にて希望カードを記入されると2019年9月入学の転編入試験の有無についてご通知します。

2019年もどうぞよろしくお願いいたします [Ⅱ-181]

 子どもたちから年賀状をいただきました。そこにはたくさんの願いが書かれていました。

☆にじゅうとびを10回れんぞくできるようになりたいです。

☆3がっきはなわとびがたのしみです。

☆私は一りん車が好きです。今年も一りん車をがんばりたいです。

☆はじめての八がたけのがっしゅく、楽しみです。

☆終業式の時のムービーがとっても分かりやすかったです。ぼくもはやく六年生になりたいです。

☆私は、新しい自ぜん広場が楽しみです。新しい自ぜん広場には、チャレンジできるジャングルジム(木)があったらいいな~と思います。

☆ぼくは、新しい自ぜん広場にターザンロープを作ってほしいです。ぼくは新しい自ぜん広場を楽しみにしています。

☆ぼくは、自然広場をよりよい自然広場にしたいです。

☆今年はパートナーです。新1年生が楽しく学校に通えるよう、がんばります。

☆今年はパートナー学年です。僕のパートナーの人みたいに頑張っていきたいです。

☆ことしもがっこうでたのしくすごしたいです。

☆今年は亥年なので、いきおいのある年にしたいですね!

まだまだいっぱいありました。ありがとうございました。

 

 年賀状より、その子の「やりたい」気持ち、自発性が伝わってきました。きっと、失敗しても試行錯誤を繰り返し、活き活きと取り組んでいくでしょう。そして、「やった! できた!」を味わうでしょう。そうした取り組みは、周りの人に伝わっていきます。その子その子の「やりたい」を応援していきたいと思います。

 

子どもの権利条約がいきわたる園・学校へ」という願い

 2019年は、日本が「子どもの権利条約」を批准してから25年目になります。あらためて、その条約の内容を確かめ、保育、教育をすすめていきたいと思います。

 初等部では、「一人ひとりの、幸せな子ども時代のために」ということばを使います。そのことばのキーワードに、人権としての〈安心〉〈自信〉〈自由〉をおきたいと考えます。それは、子どもの権利条約の実現をめざしていることに繋がります。

★「安心」…心が安らかでいられること、虐待、暴力、飢え、命の危険がない

★「自信」…自分を信じて肯定することができること。自分のことを価値ある存在として自分自身で認められること

★「自由」…自分の考えで行動できること      

 そのために、あせらずゆっくりたっぷり自分らしく子ども時代を過ごすことができるように。一人ひとりが感情や意思をもった人間として尊重され、〈なりたい自分〉に向かって可能性が最大限伸ばされるよう応援してもらえるようにしていきたいです。

 また、自分に関係あることについては意見を言える、その意見は考慮されなければなりません(意見表明権)。それは、言ったらすべて受け入れてもらえるということではなく、まず相手にわかってもらえるようにちゃんと自分の考え話す努力をする、そして相手の考えを理解しようと努力することです。意見の対立、受け入れる、譲れないなど「折り合い」をつける努力もしながら成長します。大人になったとき自由な社会の中で自分の発言や行動に責任がとれるように、子ども時代から経験し学んで準備していく、その子にとって何が一番いいかが最優先して考えられる(子どもの最善の利益)などが大切にされていくことです。子どもは社会に「参加」する権利主体です。大人の「パートナー(仲間)」であり、それを保障するのは〈子どもと大人の対話〉です。

 こうした考えを、初等部では大切にしていきたいと思います。

★条文紹介

「子どもの最善の利益」(3条、18条など)

 大人は、子ども自身の意見やことば、行動による意思表示を読み取ること、子どもの身になって考えること、子どもの本音、内面を読み取ることなどを大切にします。

 市民的諸権利として、「表現の自由」(13条)、「思想、良心、信教の自由」(14条)、「結社、集会の自由」(15条)、「プライバシーの保護」(16条)、「マスメディアへのアクセス」(17条)などがあります。

 積極的な大人社会への参加の保障として、「意見の表明」権(12条)、「休息、余暇、遊び・文化的生活、芸術」への参加の権利(31条)などがあります。