どの国も核兵器なしにならないのかな?

 前回の続きです。

 平和教育を進めていく際、「平和学習を単調な道徳の刷り込み授業としないこと、そのためには、まず多角的に事実を捉えさせること」を意識しています。また伝承者の高齢化に伴い、子どもたちが未来の担い手として、史実を伝承していくことも大事にしています。

 以前、東京大空襲の伝承を語り継ぐプロジェクトに関わっている方のお話をきいて、伝承者として大切にすべきことを教わりました。一つは、忠実さ。直接体験した方の体験や思いを省略せず、丁寧に伝えること。二つ目に、直接体験した方の思いと伝承者である自分の思いを混同させないこと。三つ目に、平和は正しいこととして押し付けるのではなく、未だに平和を実現できていない自分自身の罪深さを自覚すること、だと話してくれました。三つ目に関しては大人が意識すべきことだと思いますが、ほかの二つは、子どもたちにも伝え続けています。

 だからこそ、学んだあとは情報を共有し、整理し、そして自分の考えを伝える時間も確保しています。また自分の考えだけではなく他者の考えを受け止め、学びを深めていくことも大事にしています。

 桐朋小学校の平和教育については、『桐朋教育』第56号にて紹介されておりますので、関心のある方はご一読ください。

・今日話を聞いて思ったのは展示品が思ったより大事なんだなってことです。東京大空襲の資料館へ行ったときは展示品より資料を見ていたので、広島では展示品もしっかり見ようと思います。ほかには「核兵器禁止条約」で核兵器をもっている国は条約に参加していないと言っていて、それなら、その条約は意味がないんじゃないかと思った。かんじんの核兵器をもつ国が使えるってことだから。どの国も核兵器なしにはならないのかな?

・あんな3メートルの1つの爆弾で14万人死んでしまった。そこにいたか、いないかで生きた人と死んだ人がいるっていうのがこわいです。核兵器禁止条約は別に参加しなくてもいいわけで、あまり意味がないと思った。それに核兵器を強い国が捨てたら、ほかの国に攻められるかもしれないし、「核兵器を捨てました」とアメリカが言ったとしても実はもっているかもしれない。だからそんなに意味がない気がした。全部の国が捨てるということはすごくむずかしいと思った。でもみんな核兵器をもっていたら、手が出せなくなって安全になるのかな?

 

戦争のこわさをみんなが忘れてしまったら

 先月、被爆二世の山岡美知子さんが広島から桐朋小学校に来てくださいました。山岡さんはピースボランティアとして平和記念資料館や平和公園をガイドし、被爆体験伝承者1期生として国内外の人たちに被爆の実相を伝え続けている方です。

 山岡さんは両親被爆後、5年後に生まれました。被爆した母から話を聞いた経験はあったものの、さほど関心はなかったようです。ボランティア活動を始めてから被爆の実相について勉強すればするほど、詳しい情報が知りたいと思うようになり、また後世に伝えたいという気持ちが強くなり、被爆の実相を冷静に、正確に伝えていく活動を続けています。

・今日、山岡さんのお話をきいた。原爆の話はきいたことがなかったから、きけてよかった。放射線は見えないけれど、放射線にあたって病気で亡くなっちゃう人がいる。熱線は3000℃~4000℃、あたったらすごく痛いと思う。助けてといわれて、助けてあげられなくて生き残った人は、とても悔しい思いをしたんだということを、山岡さんのお話をきいてよくわかった。山岡さんは英語が苦手だけれど勉強して、外国人の学生に伝えていってる。今日、山岡さんのお話をきいて、いろいろな人に伝えようと思った。広島の修学旅行でたくさん学ぼうと思った。

・私が印象に残ったのは、原爆によって負うキズ。体に負うのは、ケロイド、がん、白血病、ぶらぶら病。その場で亡くなった人たちも。それに心のキズ。たとえば友達や家族、知り合いを見殺しにしたり、目の前で亡くなったり。きっといろんな人が苦しんだと思う。ひふや肉がたれたり、キズの中にウジ虫がいたりして。私は、毎日友達と会えて、ありがたい生活だと思う。どうすれば戦争を起こさずに、核兵器を使わなくして、一人でも苦しまない生活ができれば、と思う。

・35万人もいたのに14万人も死んだなんて。しかもたった4ヶ月で!そのあともきっと死んでいるから、戦争っておそろしいと思った。でも実際、戦争の場にいないから、本当のおそろしさは、ほとんどわかっていないと思う。昨日、校長先生が平和公園で広島のガイドをしている子のYouTubeを見た。しかも、英語。そうやって世界に戦争のこわさを伝えていていいなって思った。みんなに伝えていかないで、戦争のこわさをみんなが忘れてしまったら…。

 修学旅行先で、なにを見て、どんなことを学ぶのか。山岡さんのお話をきいて、少しずつイメージができてきました。亡くなった人だけではなく生き残った人の辛さ、心のキズにも焦点を当て、学んだことを、またこれから学びたいことを整理していました。

 

本日の運動会について

本日の運動会は、予定通り実施の方向で準備を進めます。
開門は8時です。早すぎる来校は禁止します。
保護者の開場予定時刻は8時半ですが、グラウンドの状況で少し遅らせる可能性があります。
受付の指示に従ってください。
IDなどお忘れなきようお持ちください。
子ども達への温かいご声援をお願いいたします。

桐朋小学校 教務

やりたい! 楽しい! 気持ちいい! 好き! 格好いい![Ⅱー404]

桐朋小学校では、民舞に取り組んでいます。子どもたちと、民舞を学び、身体を耕し、しなやかな身体をつくろう。身体いっぱい表現し、その楽しさを味わおう。みんなで一つのことをつくる喜びを味わえたら嬉しい。そうした願いを持ちながらすすめています。

民舞は、日本各地で地域の祭りや盆踊り、神楽の奉納などで踊り継がれてきた芸能です。それらの多くは、日常生活の労働の中で培われてきた身体の使い方が、踊りの元になっています。地域の中で世代を超えて人と人を繋ぐ大切な共有財産、かけがえのない文化です。踊りを通して、繋がり合い、連帯し、生きる喜び、祈りや願いなどの感情を共有してきました。桐朋小でも、みんなの文化として民舞を大切にしています。

1年生は、【荒馬】を

元気いっぱい跳ねる馬。大太鼓の音に合わせて、元気な馬がグランドいっぱいに駆けまわります。

青森県今別町のねぶたのお祭りで踊られる、荒馬を基にしています。跳んだり、跳ねたり、元気いっぱい声を出し、表現します。「ラッセラー ラッセラー / ラッセ、ラッセ、ラッセラー」

4~6年生が、会場づくりも大切にすすめています。

2年生は、【花笠踊り】を

踊りに親しみ、笠を使いながら表現を楽しんでいます。

桐朋小学校では、踊りだけではなく、笠の飾りつけも自分たちでやります。今年は、これまで踊られてきた尾花沢系の花笠踊りと、現地山形でよく踊られている正調踊りに挑戦! 「ヤッショウ マカショ トウホウショウ!」

3年生は、【桐朋みかぐら】を

この踊りは、岩手県大森部落に伝わる神楽舞が基になっています。それを3年生の子どもたちに合った動きやリズムに変えて構成しました。

左手には自分で選んだ色の扇、右手には自分たちでつくった錫杖を持ち、太鼓のリズムに乗って元気よく踊ります。扇返しや足の動きなど、難しいところがたくさんありますが、一生懸命練習をしています。「ソーレ」

4年生は、【ソーラン節】を

ゆったりとしたソーラン節のリズムと、速いテンポの南中ソーランの歌に合わせ、足腰を中心に全身を使ってニシン漁を表現しながら、動きをたのしみます。

ソーラン節は北海道の民謡で、ニシン漁で歌われた歌です。振付は、押す、引く、担ぐ、放る、掬うなど、ニシン漁におけるさまざまな作業の動きがあります。「ヤ―レン ソーラン ソーラン ソーラン ソーラン…」

5年生は、【エイサー】を

沖縄本島や近隣の島々で旧盆に踊られる盆踊り「エイサー」。三線、太鼓、手踊りの踊り手が行列をつくり、村々の通りや各家庭をまわります。先祖の霊を供養し、太鼓やパーランクの音で村々を清めます。

沖縄市 園田青年会のエイサーに学び、全身を思い切り使って、周りと太鼓の音を合わせ、三線の音に動きを合わせながら踊ります。

『南ダキ節』『仲順流り』『海ヤカラ節』『いちゅび小節』『固み節』『唐船ドーイ』の6曲を歌に合わせて踊ります。

  

6年生は、【中野七頭舞】を

七つの道具を使い、七種類の踊りを踊ることから「七頭舞」と呼ばれています。

岩手県岩泉町、中野、小本で、約百八十年も前から踊られている「中野七頭舞」。荒地を開拓し、獣を追い払い、畑を耕して、豊作を祝い、仕事の苦労を癒すというストーリーで表現します。大地に向かい太鼓等の音にリズムに合わせ、全身を作って思い切り体を動かします。

「桐朋小学校運動会 表現運動 年譜」によれば、荒馬は1981年「1年荒馬遊び」から、花笠踊りは2015年から、みかぐらは1978年から、ソーラン節は2020年から、エイサーは1995年から、七頭舞は1983年から踊りつがれています。他には、アイヌの踊り、はねこ踊り、沖縄の踊り、身体表現、器械運動などにも取り組んできました。

本物に学ぶ~運動会高学年民舞~

いよいよ運動会本番です。

5年生は1学期から沖縄市の園田青年会の踊りを練習してきました。手踊りからはじめ、締め太鼓、大太鼓、旗頭をクラスで決めて、本番を迎えます。
運動会前日の土曜日、沖縄から駆けつけてくれた青年会みなさんから学ぶ時間があります。これに先駆けて、金曜日、大太鼓役の子たちと青年会の方と顔合わせをすることが叶いました。大変ありがたいことに、短い時間でしたが練習することも出来ました。

本場の踊りと三線の音と歌声をきいた子どもたちは、一気に引き込まれ、そして一気に動きが変わります。そして、自分たちの変化を身体で感じ、生き生きとした姿で練習を終えました。

 

 

6年生は岩手県中野の小本に伝わる中野七頭舞を踊ります。みんなで1つの踊りをおぼえてから、7つある踊りから1つを自分で選択して練習してきました。 七頭舞保存会の方と踊り手の方々に今年は3回お越しいただいて、各道具の練習を実際に踊っていただきながら学ぶ時間を持ちました。

授業でも集中力高く学んできていましたが、本場の踊りとご指導から一気にアップデートしていく様子は圧巻です。子どもたちの学びとる力と踊り手の皆さんの声掛けや踊る姿に引き込まれます。

 

授業のみではなくこうして本場の方から学ぶ時間は、大きな刺激になるだけでなく、日々の授業の成果から一皮むける機会にもなります。表面的に学び踊るのではなく、踊り込んで深めていくことで、その踊りの魅力を感じ、自然に身体が動いてしまう「はまる」状態になります。ぎこちなかった動きが滑らかになり、自分流の間の取り方で気持ちよく踊る姿はとても素敵です。

この時期、電車の中で踊ってしまったり、ふと太鼓のリズム音を口ずさんでしまったり、ちょっと長めの棒などがあると思わず踊り出してしまったり・・・そんな6年生の姿や、誰かがふっと手をたたき始めると次から次へと手で太鼓の真似をして踊り出して笑い出したり、歌を歌い踊りながら歩いている5年生の姿などが頻出します。

「運動会終わったら、踊りも終わっちゃうんだよね。」

と言っていた6年生がいました。楽しみだけどさみしくもある。素敵な言葉です。

ぜひ、悔いのない運動会にしてほしいです!

 

運動会に向けて~高学年対抗競技~

もうすぐ運動会。最高学年の6年生は民舞「中野七頭舞」と対抗競技で「大玉リレー」に出場します。

今年度から対抗競技は、高学年5,6年生が一緒に行います。

1試合目は5年生。

2試合目は5,6年生の混成チーム

3試合目は6年生です。

大玉リレーは 「①球を転がす役(二人一組)」 「②布(風呂敷)にのせて運ぶ役(四人一組)」 「③担いで運ぶ役(四人一組)」 の3つの役割があります。

5年生は①→①→②→②→②→②→③→③→③→③の順番にリレーをしていきますが、

5,6年混成チームと6年生は、①→②→②→③→③→③→③→②→②→①の順番に変わり、やや難しくなります。

  

早速体育の時間に練習です。

授業では、「②布にのせて運ぶ役」と「③担いで運ぶ役」をひとまず全員が体験し、落とした後のリカバリーの方法を学びました。

また、遠心力によって大玉が落ちやすいゾーンがあることを学び、どうやって運べばスピードや大玉を落とさず走れるかを考えました。

ちなみに①~③の役割と走る順番は、クラスで選んだ運動会対抗競技係がクラスみんなと相談して決めます。
練習する中で、どんどん反省点や改善点の意見交換がなされます。

6年生は両クラスともほとんどミスなく運ぶことが出来るようになってきましたが、ここからが本番です。
スピードを上げすぎると大玉が弾みやすく落としやすくなること、急ぎ焦ると連携が乱れ上手くいかなくなることが常に隣り合わせなところが大玉リレーの難しいところです。

両クラスともミスがないと、後はスピード勝負になります。如何に素早く走り、スムーズにバトンタッチを完成させるかが鍵です。
このバトンタッチも大玉リレーの面白さの一つです。
「②布で運んだ役同士の受け渡し」、「③担いだ役同士の受け渡し」の局面だけでなく、「①転がして→②布にのせる」、「②布にのせたまま→③担いで運ぶ役にわたす」という、別の役割につなぐ局面でのスムーズさが要求されます。

6年生はこれに加え、 「③担いだ大玉を→②布に投げてのせる」 「②布にのせた状態から大玉の勢いを落として→①転がす役につなぐ」別の局面のスムーズさが求められます。

これから、スピードを上げても落とさないこと、万が一落とした際のリカバリーを素早くし、連携を高めることをさらに練習していきます。

 

いよいよ5年生との合同練習も始まります。先日5,6年生の混成チームのペアも決まりました。

6年生は5年生に運ぶ時のポイントを教えたり、一緒に練習をする時の中心になってもらいます。どんな風に5,6年生が学び合うのか楽しみです。

 

9/27~9/30限定!桐朋小学校WEB説明会(録画)のお知らせ

本校の入学考査出願は10/1(火)0:00~10/3(木)23:59です。

 

本校のことを少しでも知っていただく機会を願い、WEB説明会(録画)を開催します。

9/27(金)15:00~9/30(月)22:00までの期間限定であること、出願を検討して下さる年長児のご家庭限定での配信となります事、あらかじめご了承ください。

本校のホームページ「説明会、体験会予約画面」よりご予約下さい。本日正午より受け付けます。

ご予約完了メールにて、閲覧方法のご案内をいたします。

よろしくお願いします。

 

※9/30 22:00追記

説明会の予約と動画の公開を終了しました。
ご視聴ありがとうございました。
お目にかかれることを心待ちにしております。

 

教務

 

 

年長組「きこり遠足」 [Ⅱー403]

25日、奥多摩「もりニクル」へ「きこり遠足」に行ってきました。約2時間のバスでは、「自分クイズ」「なぞなぞ」「カラオケ」などを行って、酔うこともなく楽しく過ごしました。

森のツアー案内、きこりなどを見せてくださったお二方、運転手さん、ありがとうございました。「森となかよしになる機会」をいただいて、一人ひとりの心の中に、森の世界が入っていったと思います。

森にお邪魔させていただいて、行った活動から、「きこり」を中心にお伝えします。

道をはさみ、左は檜林、右は杉林でした。檜林は、暗く、細い木が多く、地面は茶色でかたくなっていました。杉林は、檜林に比べ、空が見えて、太陽が入ってきて明るく、太い木もたくさんありました。歩いて、触って、嗅いで、聞いて感じ、森、木、生き物、自然のことを教えていただきました。

いよいよ「きこり」です。ヘルメットをかぶり、檜林に入ると、細くて暗いところにある木と出あいます。木々の育ちを考えて、切る木を決めます。そして木を倒す方向を確認し、受け口をつくりました。一人ひとりがまっすぐにのこぎりを入れました。次のグループの一人ひとりが斜めに受け口をつくりました。

 

そして、倒す木につけたワイヤーをひっぱり、倒していきます。傾いた時の揺れや音、枝や木のこすれる音、倒れる瞬間の響きなど、息を飲む瞬間がたくさんありました。

「50年生のヒノキを伐り倒す瞬間は子どもたちの心に木が生き物だということを刻む良いきっかけになります」(『森とあそび 木とくらす 東京・森と市庭』(「もりニクル」パンフより)

  

倒した木の根、木のにおいをかぐと、レモンのにおいという人がたくさんいました。木の皮をむくと、みずみずしさを感じます。すべすべして、たいへん奇麗でした。

そして、倒れた木にのってみると、しなってふわふわした感じで気持ちがよくなります。

  

見晴らしの良い広場で食事をとってから、伐採した木を切って、ペンダントをつくりました。「一筋縄では切れない丸太に悪戦苦闘しながらも、切りあげた達成感」を感じたのでは。そして、自分の作品にしていく喜びを。

 

大きなアスレチックにも上りました。樹の上で感じる世界、光、風、鳥の声、ひろがる景色などを味わったことでしょう。活動した場所の下には、多摩川の源流があり、川あそびも楽しみました。

森と子どもたちをつなげてくださった皆さん、たいへんありがとうございました。

 

2025年度考査の情報登録を開始しています

本校をご志望くださる皆様

〇志願者の情報登録と、志望動機書のダウンロードについて

本HP【出願はこちら】の緑色の案内バナーをクリックして、出願サイトにアクセスしてください。

事前にこれらをご準備いただきますと、出願時の手続きがスムーズです。

事前登録をお勧めいたします。

なお、出願は10月1日(火)0:00~10月3日(木)23:59です。

 

桐朋小学校 教務