ア~ユ ボ~ワン!スリランカとの出会い

3年生で初めての「地球市民の時間」を行いました。今回子どもたちを迎えてくださったのは、桐朋の卒業生でもあり、現在スリランカに暮らしている飯塚淳子(いいづかじゅんこ)さんです。スリランカで暮らし始めて20年になる飯塚さんから、現地の暮らしや文化について、たくさんのお話を伺いました。

  

一年を通して夏のような気候でありながら、湿度が低く、朝晩は少し肌寒く感じることもあるというスリランカ。朝、温かい紅茶を飲んでからベッドを出るという現地での暮らしの話に、子どもたちは「そんなに涼しいんだ!」と驚いた様子でした。スリランカについて紹介するパネルも見せていただき、知らなかった国の暮らしや文化に、少しずつ興味を広げていきました。

今回、子どもたちが実際に体験したのは、スリランカの食と衣服です。

 

まずは、スリランカのパン「ロティ」づくり。ココナッツが入った生地を、材料を混ぜてまとめ、発酵させます。生地を手で平たくのばす感触や、ココナッツの甘い香りを感じながら、発酵を待ちました。

その間には、スリランカの伝統衣装「サリー」も体験しました。5mほどもある一枚の布を体に巻いて着るサリー。巻き方によって印象が大きく変わり、一枚の布からさまざまな姿をつくり出せることに、子どもたちは興味津々でした。実際に身につけてみることで、衣服の文化にも親しむことができました。

  

そして、いよいよロティを焼く時間です。発酵した生地を丸めてつぶし、フライパンへ。理工室には、次々と焼き上がるロティの香ばしい香りが広がりました。焼きたてのロティを味わい、スリランカの「食」を五感で感じる時間となりました。

  

一つの国について、話を聞くだけではなく、見て、触れて、香りを感じ、味わう。そうした体験を通して、子どもたちはスリランカという遠い国を、少し身近なものとして感じたのではないでしょうか。

今回の出会いを第一歩に、これからもさまざまな国や文化に出会いながら、子どもたちの世界が少しずつ広がっていくことを願っています。

  

Ⅰ 「改修」子どもたちの声 Ⅱ 学ぶこと[Ⅱ‐472]

Ⅰ 子どもたちにとっての断熱、木質改修

 2学期始まってすぐに2年生から、「図書室がかわったよ。先生も行ってみて」と声をかけられました。改修で図書室が大きくかわり、その喜びを伝えたくなって、私に声をかけてくれたのだと思いました。その気持ちを嬉しく受けとりました。

写真はすべて幼稚園ゆり組合宿の様子から。食事づくり、プール、みんなで布団を運んで寝るなど、いろいろな経験をしました。

 2学期、改修について子どもたちの声を聞きたく、アンケートをとりました。まだ集計途中ですが、5、6年教室、図書室について、前よりも良くなったという意見が多数あります。学校全体で集計をすすめ、2027年度の第2期改修工事の取り組みに生かします。

◆アンケートより

●夏休み中に行った「窓・壁・天井の断熱工事」と「木の工事」について、前と比べて今の気持ちを教えてください。

・教室について 教室に入った時、断熱工事の効果を感じますか?

 

5年生

6年生

1 とても感じる

16

19

2 やや感じる

11

11

3 あまり感じない

 6

 0

4 全く感じない

 1

 1

5 わからない

 0

 2

 

・図書室について 図書室の「涼しさ・過ごしやすさ(温度)は、工事の前と比べて変わりましたか?

 

5年生

6年生

1 とても快適(過ごしやすくなった)

15

20

2 快適になった

14

 7

3 少し快適になった

 3

 2

4 変わらない

 1

 1

5 わからない

 1

 3

 

●教室、図書室についての自由記述

 教室について

・エアコンがすぐに効いて、前より涼しくなっている。過ごしやすい。(多数) *エアコンの効きすぎで寒くなることがあると書いている人もいます。

・木の二重窓などのデザインが好き。

・前よりも教室がきれいになった。

・木の香りでリラックスが出来て、集中できるようになった。 ・木のにおいは落ち着くからいい。 ・木のにおいがいつでもかげていて、落ち着ける。(多数)

・前より音が特に静かになった。

・壁のはだざわりがよくなった。

・暑い時に前までは、めっちゃ生ぬるい空気だったけど、今では体育など終わった時に入ったら、めちゃめちゃ涼しくてすっごく気持ちが良かったです。

・ドアや窓が二重になって少しめんどくさい。

・工事してすごく良かったと思う。

・このきれいさを保ちたいなぁ。

 

 図書室について

・床がきれい。きれいになって、とても過ごしやすい。 ・床が前よりやわらかい感覚がする。床のはだざわりがよくて落ち着く。

・解放感があって、好きになった。

・本を返すところに生き物がいる。

・見た目が違うし、木のにおいがすごく好きで、図書が好きになった。

・落ち着いて本が読める。本がよみやすくなった。

・図書室は、他の教室よりダイレクトに木のにおいを感じるので、毎回入る時が楽しみです!

・木の上で寝転がると気持ちいい。

・前と比べて涼しくなった。

・床が高くなった。天井が高くなった。

・靴下で入れるのがうれしい。家みたい。上履きを脱ぐところがなんか気持ちいい。

・靴をぬぐのがめんどくさくなった。

・なんかすごく「森!」って感じがした! 私は好き。

・色がめっちゃいい。

 今後に向けての要望では、今回の改修でできなかった教室、部屋、廊下の断熱、木質工事を願う声が多数ありました。

 これからも継続して、教室や部屋の温度や二酸化炭素濃度の計測、光熱水費の集計と昨年度比較、温室効果ガス削減、抑制に向けての取り組みをすすめます。

   

Ⅱ 卒業生 平野雄吾さん(共同通信記者)に学ぶこと

 平野さんが書かれた「戦争と教育 -イスラエルから考える共感と憎悪」を読ませていただきました。これまで平野さんの著作(『ルポ 入管──絶望の外国人収容施設 』、『パレスチナ占領』共にちくま新書)に学んできました。

 以下、平野さんが書かれた「戦争と教育 -イスラエルから考える共感と憎悪」を読んだメモより。

・イスラエル中部に、「ネベシャローム」という村がある。村の名は「平和のオアシス」を意味し、「ユダヤ人とパレスチナ人が共に暮ら」している。平野さんが2021年に村の小学校を取材。「共生の理念を体現」しようと実践を創造。

・オアシス建設は、1970年代。手がけたのは、神父ブルーノ氏で、「他者を受け入れ、自由に意見を交わす共同体を目指した」。4家族から、人口約300人へ拡大。「ユダヤ人とパレスチナ人が半々で、入村には共生の理念への賛同が求められる」。

・村の小学校は、「社会・文化・伝統」の授業に力を入れる。ヘブライ語とアラビア語を使用。その小学校の教師パレスチナ人リーム氏とユダヤ人教師ヘジ氏のこと。リーム氏が大学卒業後、イスラエルの占領に抗議するアラブ人の民衆蜂起「インティファーダ」が始まり、リーム氏の自宅にもイスラエル軍が押し入る。その後、4人の子どもの母親になったリーム氏は、「平和のオアシスを知り、40歳を前に入村」。「わが子にはユダヤ人を憎しみながら生きてほしくなかったんです」。

・リーム氏の「対話の授業」が紹介されている。たとえば、「爆弾が怖くない人なんている人なんている?ユダヤ人とパレスチナ人、人間と人間が殺し合っている。私たちは何をすべきかしら」という問い。

・「ネベシャロームの教育はイスラエルでは例外」であること。「イスラエルの一般的な公教育では、ナクバは周縁に追いやられ、ホロコーストの悲劇が繰り返し語られる」こと、「集合意識の中に「永遠の被害者」が刻まれる」そうだ。

・リーム氏は、「無知は恐れと不信を生み、憎しみを醸成します。悪循環を断ち切るには双方の立場から事実を伝え、対話を重ねるしかありません。一緒に学ぶのは他者を理解するためなんです」と言う。

 2023年10月、ハマスによる奇襲、パレスチナ自治区ガザの戦闘、「イスラエル社会では改めてパレスチナ人への憎悪」。リーム氏「(学校の様子は)厳しい」。「かつて「争いのない未来をもたらす平和の使者を育てる」と希望を語ったリーム氏」。平野さんは、「理想と現実の乖離を感じた」と言う。

 歴史学者ユヴァル氏への取材で、平野さんは氏のことば「この紛争は資源を巡る争いではありません。双方が『この土地はわれわれのもので、あいつらはここにいるべきではない』と幻想を抱いているのが問題」「二つの民族が暮らしているという現実を認め、この幻想を取り除かなくてはなりません」を紹介。そして、「教育には、憎悪をほどく力がある(リーム氏、ヘジ氏らの実践)一方、被害の記憶や排他的な民族意識を再生産し、紛争の継続に寄与する現実(イスラエルの一般的な教育)もある。子どもたちが恐怖や怒りを自分の言葉で語り(リーム氏の「対話」実践)、相手の言葉を聞く場をどうつくるのか。その困難さは戦争が長引くほど重くなる。(リーム氏「厳しいです」)」と書かれている。

 

 平野さんに学んで、自分の授業、社会、国のあり方などを考えます。昨年度、桐朋小では『故郷の味は海をこえて』(著・写真 安田菜津紀)を教材に扱い、学びの最後に、その本に出てくるミャンマー料理店を営むタンタンジャインさん、タンスエさんや難民支援協会の方に来ていただいて、料理をいっしょにつくることをしました。タンスエさんから、自由のない社会、命を狙われ日本に逃れてきたこと、「難民認定」までの長い道のり、「どこに逃れたとしても人間らしくいられる場所を」という願いなどを直接聞いて、困難な状況を学び、考え続けています。「争いのない未来をもたらす平和の使者を育てる」ことを願って実践をすすめます。

 イスラエルの一般的な教育が「排他的な民族意識を再生産し、紛争の継続に寄与する現実」として捉えると同時に、私たちの教育や社会がそのようになっていないかを考えます。そして、日常の対話、政治の話題における対話などを重ねていく必要を感じました。

 京都大学の藤原辰史さんが『中学生から知りたい パレスチナのこと』の本で、「低関心は、戦争の暴力の激化とも深く関わっています。イスラエルによるパレスチナ人の生存条件の破壊はもう半世紀以上もつづいていて、ほとんどの人が理解しているべきだったにもかかわらず、なぜこの程度しか知られていなかったのかという問いを私たちは突きつけられています」と書いていて、心に突き刺さるようなことばでした。なぜなら、これは私自身のことだと捉えたからです。

 

学年遊びで楽しくスタート

1年生の2学期スタートは、学年みんなでの遊びから始まりました。東組・中組・西組の3クラスが集まり、みんなで思いきり体を動かしました。

最初のゲームは「キャッチ」。隣の友だちにつかまらないように、元気いっぱいに逃げます。続いては「進化じゃんけん」。じゃんけんに勝つたびに、卵から少しずつ動物へと進化していきます。最後は「もうじゅうがり」。みんなで声をそろえながら、学年全体で楽しみました。

  

久しぶりに会った友だちとも、一緒に遊べば自然と笑顔に。クラスを越えて関わりながら、楽しい雰囲気の中で2学期をスタートすることができました。

  

これから運動会など、3クラスみんなで活動する機会が増えていきます。遊びを通して少しずつ友だちの輪を広げながら、1年生みんなで楽しい2学期をつくっていきます。

9/18~9/30限定!桐朋小学校WEB説明会(録画・施設案内動画)のお知らせ

本校の入学考査出願は10/1(木)0:00~10/3(土)23:59です。

 

出願の事前登録を9/25(金)13:00~開始いたします。

 

 

本校のことを少しでも知っていただく機会を願い、WEB説明会(録画・施設案内動画)を開催します。

9/18(金)13:00~9/30(水)23:59までの期間限定配信となります事、あらかじめご了承ください。

本校のホームページ「説明会、体験会予約画面」よりご予約下さい。

9/18(金)13:00より受け付けます。

ご予約完了メールにて、閲覧方法のご案内をいたします。

▶︎Web説明会会場はこちら◀︎

よろしくお願いします。

 

教務

 

 

すいかわりで 再スタート

9月1日、子どもたちが教室に戻ってきました。夏休みの出来事をたくさん抱えた子どもたちは、久しぶりの友だちとの再会に、わくわく、そわそわした様子です。

長い夏休み明け。2学期最初の「みんなで一緒に」は、思いきり楽しめるものにしたい。そんな思いから、2学期のスタートにスイカ割りをしました。

  

「もっと右~!」「からだごと、左むいて~!」「そう!そう!そこっーーー!!」

友だちの声を頼りに、スイカをめざして一歩ずつ進みます。バシッ! メシッ! と音がするたびに、歓声が上がります。みんなの声援を受けながら、一人ひとりがスイカ割りに挑戦しました。

全員のチャレンジが終わる頃には、スイカには少しずつヒビが入り、ついに真っ赤な中身がお目見えしました。

そのあとは自然広場の近くに移動し、みんなでスイカを味わいました。甘いスイカをほおばりながら、飛ばしたタネを見て、「来年、このへんにスイカがたくさんできるかもね!」という声も。

  

夏休み明けの教室に、子どもたちの声と笑顔が戻ってきました。

運動会見学会のお知らせ(年中児家庭限定)

本校にご興味をお持ちくださる皆様

 

桐朋小学校 運動会見学会を以下の通り開催します。

 

〇日時

2026年10月4日(日)

 9:30~ 受付

 9:45~10:30 見学

・正門よりご入場いただき、案内に従って受付場所にお越しください。

・上履きや靴袋等は必要ありません。屋外で立ったままの見学となります。

・暑さが残る季節です。各ご家庭で暑さ、日よけ対策をお願いします。

 

〇内容  

民舞発表の一部をご覧いただきます。

 

〇受付開始日  9月18日(金) 13:00から

・本ホームページ「説明会・体験会予約画面」よりお進みください。

・お子さんのお名前でお申し込みください。1家庭、2名までご入場いただけます。(お子さんも1名としますが、乳児・未就園児は人数に含めません)

・男女の枠がございますので、お間違えのないようにお手続きください。

 

※運動会が雨天延期の場合、本イベントは中止となります。

 運動会実施の可否は、当日朝7:00にホームページ上に掲載します。

 ご確認の上、ご来校ください。

 


〇お願いとご案内

※本校の説明会にお申込みいただくには「miraicompass(ミライコンパス)」サイトでのユーザー登録が必要です。

事前に準備しておいていただくと、お申込みがスムーズにできます。

※すぐに満席になることも予想されます。その場合ご容赦ください。

※ご都合がつかなくなった場合はホームページよりキャンセルのお手続きをお願いします。

(キャンセル待ちはございません。どなたかがキャンセルした場合にのみ空席になり、その場合のみ予約が可能です。ご協力お願いいたします。)

※説明会後にミライコンパスマイページよりアンケートの送信をお願いします。これによりご参加の確認をさせていただきます。

 

皆様のご来校をお待ちしております。

 

桐朋小学校 教務

歩いて、考えて、たどり着いた一丁平

5年生は、五月に高尾山・一丁平へ遠足に出かけました。

当日は気温が高くなりましたが、木陰には心地よい風が吹き、絶好の登山日和となりました。

昨年度は、6人グループで同じコースを時間差で歩きました。その経験を生かし、今年は3つのコースの中から自分たちで選択し、コースごとに用意された問題を解きながら一丁平を目指しました。

途中では、問題の看板を見逃したり、分岐を間違えて別のコースへ進んでしまったりする場面もありました。しかし、そのようなハプニングも仲間と相談しながら乗り越え、全員が元気に歩き切ることができました。

  

急な階段や長い登り坂に苦戦しながらも、一丁平へ到着したときの子どもたちの表情は達成感にあふれていました。昼食を楽しみ、自然の中で思い切り遊び、帰りにはリフトから高尾山の景色を眺めることもできました。

また、実行委員として集いの進行を務めたり、ごみ拾いをしながら登山を楽しんだりする姿も見られました。それぞれが自分の役割や目標を意識しながら過ごした一日となりました。

  

<子どもたちの感想より>

「みんなで協力して登山できて、うれしかった!!」

「ごみをひろっていたら、いろいろな人に『えらいねー』といわれてうれしかった。でも、ごみの量が多すぎてびっくりした。」

「まちがえてちがう号路を歩いてしまったけど、みんな去年より足がはやくなっていて、『みんなすごくなってるんだな。』と思った。」

「ついに今日は遠足だ。ぼくが一番たのしみなのは、いろいろな生き物に会うことだ。」

「一番きつかったのは、一丁平までのたくさんのかいだんでした。すっごくつかれたけど、そのあとのおべんとうはとってもおいしかったです。」

「帰りの登り坂は大変だったけれど、一丁平まで歩き切ることができてうれしかった。」

  

願いをつないだ七夕のひととき

 七月に1年生は、5年生との「七夕の会」を行いました。久しぶりにパートナー学年のお兄さん、お姉さんと一緒に過ごせることを楽しみにしていた子どもたちは、朝からわくわくした様子でした。

 会の始まりは、5年生による七夕のお話の読み聞かせ。その後は、願い事を発表する工夫が加えられた「爆弾ゲーム」を楽しみました。「じゅういさんになりたい」「ポケモンとくらしたい」など、子どもたちは思い思いの願いを笑顔で伝え合いました。

    

 続いて行った七夕飾りづくりでは、星やちょうちん、天の川など、さまざまな飾りを制作し、短冊にはそれぞれの願いを書きました。5年生は、1年生の様子を気にかけながら、優しく声をかけたり、作り方を教えたりと、終始温かく寄り添う姿が見られました。

 昼食や昼休みも一緒に過ごし、学年を越えた交流を存分に楽しんだ子どもたち。笑顔あふれる一日となりました。

 この会は、5年生が実行委員を中心に役割を分担し、時間をかけて準備を重ねて実現したものです。1年生にとっては、憧れの5年生の姿に触れる貴重な機会となりました。数年後、今の1年生もまた、下級生に優しく寄り添う頼もしい上級生へと成長してくれることを楽しみにしています。

クラリネットをこわしちゃった?

4年生の音楽の授業に、クラリネットの演奏家の先生をお招きしました。

子どもたちは大好きな「クラリネットをこわしちゃった」を歌っていました。すると、どこからともなくクラリネットの音色が聞こえてきます。後ろを振り向くと、本物のクラリネットを手にした先生の姿が。思いがけない登場に、教室は驚きと歓声に包まれました。

  

「どんな楽器ですか?」「どうやって音が出るのですか?」と、子どもたちは興味津々。次々と質問が飛び出し、クラリネットの仕組みや音色の魅力について教えていただきました。

後日には、実際にクラリネットを手に取って観察する時間も設けました。「つめたい」「穴が小さい」「思ったより重い」と、一人ひとりが感じたことを言葉にしながら、細かなつくりまでじっくり見つめる子どもたち。まだ音を鳴らしていないにもかかわらず、発見を伝え合う声が教室いっぱいに広がり、音楽への興味がさらに深まるひとときとなりました。

  

2030年学習指導要領改訂に向けて [Ⅱ‐471]

 夏に参加した研究会では、学習指導要領改訂について話題となり、話し合われました。1学期の初等部職員会議では、そのねらいや内容などについて理解を深めていくことを課題にしました。

 また、私たち教職員が学び合うとともに、保護者と学び、考え合う機会を持ちたいと思います。たとえば、6月に国会でデジタル教科書を本格的に導入するための法改正がありました。日本の教育は、デジタルを推進する動きが見られます。一方、世界を見わたすと、デジタルからアナログへ、紙の教科書の使用の動きが見られます。なぜ異なる動きになっているのか、そもそも子どもの発達にとってどうなのかなど、保護者とも学び考え合っていきたいと思います。

 私たちは、「親と教師、親と親は、子どもの『今』と『未来』のために結び合います」(9の柱の1つ)を大切にしています。

  9月1日の朝

1、学習指導要領の改定日程

 文部科学省(以下、文科省)は、学習指導要領等の改訂に関するスケジュールを示しています。

・幼稚園 2027年度周知、2028年度より全面実施

・小学校 2027~29年度周知・移行期間、2030年度より全面実施

・中学校 2027~30年度周知・移行期間、2031年度より全面実施

ねらいと内容、実験校等を活用した先進的取組の推進などを理解し、検討する課題があります。

 

2、2030年、デジタル教科書

 改訂の特色の1つに、「デジタル学習基盤を前提とした学びの在り方」(第二章)がありますが、その内容や、その内容と結びつく教科書の採択についても検討していきます。

 2026年6月、国会でデジタル教科書を本格的に導入するための法改正があり、デジタル教科書が紙と同等の教科書として認められることになりました。紙のみ、デジタルのみ、紙とデジタルの中から、採択権者(私学では、私たち)が教科ごとに選択します。改正後、松本文科大臣は「国語・社会・道徳と小4以下の全科でフルデジタルは認めない」と発言されていました。

 文科省は、2026年秋、新教科書の制作・採択の判断基準などを策定する予定ですすめています。文科大臣のいう「国語・社会・道徳と小4以下の全科でフルデジタルは認めない」が、どのようになるのかも捉えていきます。

 9月1日、朝の教室で

3、日本、世界では

 2019年、GIGAスクール構想が打ち出され、公立学校では児童生徒はタブレットを一人一台持ちます。「多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現」し、「教師・児童生徒の力を最大限引き出す」ねらいと内容が示され、実践をすすめています。

 それは、動画などを活用した新たな教材の提供、情報活用能力の向上、特別なニーズをもつ子どもへの学習機会の提供など利点があります。

 私たちは、どのような学びが大切にされ、どうタブレットが使われるのか。子どもの成長、発達にどのように結びついていくのか。脳や身体への影響はどうなのか。子どもの成長、発達として、児童期に実際に事物に触れ、五感を働かせ、感動を得て成長するなど、人やモノとのかかわりを大切にしてきたこととどう結びつくのかなどを学び、研究と実践を重ねています。

 世界に目を向けると、例えば、国をあげて教育の超デジタル化を推進してきたスウェーデンが、アナログへ転換するなど、「デジタルツールが児童・生徒の学習を向上させるのではなく、むしろ妨げるという明らかな科学的根拠がある」ということなども捉えてきました。そのした動きをみると、

<スウェーデン> 2023年、それまでの「デジタル化推進」から、政府が「学習教材」として紙の教科書を推奨。

<ノルウェー> 2023年、首相がデジタル化の見直しを表明。「生徒が十分な読み書き能力と計算能力を身につけられるよう」紙の教科書に。

<デンマーク> デジタルテストから紙とペンの試験に転換。

<フィンランド> 2006年以降、学習成果が低下傾向。特に読み書き・計算の低下に対策が必要。紙の教科書に戻す。

<ニュージーランド> 子どもたちの読み書き計算能力の低下。政府は、「手書きだけが脳の正書法マッピング回路を活性化し、強化。手書きの重要性を教師に明確に伝える必要がある」と、カリキュラム改正。

<アメリカ> 国内の学力調査で学力低下が顕著に。2024年の読解力は過去最低。読み書き教育を根本的に改革。

<シンガポール> デジタルとアナログを融合させたアプローチ。2021年から中学校に1人1台端末を導入したが、小学校には導入せず。

<韓国> デジタル教科書の全面導入を撤回。保護者の81%が「読み書き能力や集中力に悪影響」と捉える。

 このように、世界ではデジタルからアナログへ、紙の教科書への移行が進むことが見られます。今後、その理由などをさらに学びたいと考えます。また、日本ではなぜデジタル化へと進むのかを改めて考えたいです。

  9月1日、始業式。下の2枚の写真も。

4、酒井邦嘉氏「デジタル教科書時代への警鐘」

 夏に読んだ本の中で、言語脳科学者・東大教授の酒井氏『AI脳クライシス』(集英社インターナショナル)があります。酒井氏は、「紙の本による読書の必要性」、「AI脳クライシス」などを書かれ、「教育効果が保証されているのは、「紙の教科書」」とも述べていました。以下、『AI脳クライシス』より。

・「紙の本ではぺージごとの文字の位置も常に一定です。何ページの何行目といった具合に、それぞれの文字について空間的な手がかりがあり、その結果、読み飛ばしが起こりにくくなります。注意を向ける範囲を、ちょうどサーチライトで照らすように、確実に移動していくことができて、それが本を読む際に生理的なリズムを作ります」142ページ

・「紙の本は「読み書き」や「記銘」などの学習活動においても、デジタル機器よりはるかに優れています。紙の利点として、たとえば「先ほど読んでいたのは、右ページの上の辺り」とか、「見開きの図の下」といった実体としての手がかりが豊富です。/学習者は、何がどこにどのように書かれていたのか、という空間的な手がかりも利用して内容を記憶していきます。また、字を書く際にも、ノートのどの辺に書いたのか、という視覚情報が記憶の定着を促すことも明らかになっています」168~169ページ

・「デジタル教科書のリンクはネット検索とともに情報過多となり、自分で考える前に調べるようになります。しかも端末で完結しがちなので、紙のノートを使わなくなり、「書き写して覚える」こと、メモを取る能力、書字の能力にまで影響が及ぶことが予想されます」170ページ

・「書字のレベルでは、「かな漢字変換」に頼ることで簡単な漢字すら書けなくなり、語彙選択のレベルでは「予測変換」に頼って同じ表現や定型文を繰り返すことになります。さらに要点把握のレベルでは、キーボードの高速入力が災いして、要点を絞ることなく受動的にすべてをタイプするようになってしまいます。デジタル機器では雑に書いた後の編集機能に頼る分、文脈を正しく想定できないと構成がおろそかになってしまいます」170ページ

・「教育において、「短時間で覚えられればいい」などという価値観はゼロです。むしろ、教育とは繰り返しやって、それでも忘れてしまい、また繰り返しやってみる、そういう非効率なことの積み重ねです。効率という価値観を教育に持ち込むことは、自ら考えること、判断することの放棄に等しいのです」172ページ

 

5、幼児期、児童期の子どもの発達を支える視点から

 生まれた時からデジタルに囲まれている子どもたちをどのように育てていったらよいでしょうか。幼児期、児童期の子どもの発達を学び、考え合っていきたいです。

●「人間の子どもには、「自分は生きていてもいいんだ」という身体的な共鳴が必要」「「自分はみんなに受け入れられているんだ」という学びが必要」山極壽一氏。

●乳幼児期は、「安心と挑戦の循環」が育ちの鍵と学んできました。安定したアタッチメント(愛着)のもと、遊びと体験を通して外の世界への挑戦を重ねていきます。

●生涯にわたる健康の基盤づくりとして、乳幼児期に身体を動かす習慣を。「1日合計180分以上身体を動かしましょう」などの提言(WHO)。

●児童期に、五感を使って体験し、心を動かすこと。そうした生活、学びを大切にしていくこと。また、深く思考することも大切にしたいと考えます。

●実際の人間同士の対話を大切にしたい。「相談ごとはChat GPT」という子(や大人)。

●「動くこと」「群れること」の重要性。現実空間で、身体を通した育ちと学びを。「身体性」の大事さ。「からだを使って発達するチャンスを奪う」ことにならないよう。

●児童に、基礎運動能力の低下が見られるということも。スウェーデン教師協会(2024年)「多くの生徒がハサミを使えない」と、ハサミを使えない生徒、結び目を作れない、針に糸を通せないことが取り上げられている。

「子どもたちの細かい運動能力は加速度的に低下」(スウェーデン体操連盟・スポーツ教師協会)。「前回り、後ろ向きに歩く、片足でバランスをとるなどの簡単な運動をするのが難しくなっている」などもあり、目の前の子どもたち、日本の子どもたちはどうか。

●特別のニーズがある子ども。きめ細やかな対応をすること(個別にデジタル教科書配付など)。

●デジタルをすすめていく中で、自分の頭で考えなくなり、あらゆる教科や分野で学力と思考力が低下するのではないかという心配の声。

●「デジタル・デトックス」を設けること。コロナ後、視力低下が進む(東京私立初等学校協会の調査)。

●「太陽の光を浴びている時間、すなわち『グリーンタイム』が、心身の健康を増進する」こと。