荒馬〜パートナーさんが泣いちゃうくらい〜

民舞発表会。

対抗競技を延期したり、係活動が少なかったり、

いつもと違うこともありました。

 

でも、マイナスな”違い”だけではなく、今年だけの特別なことも。

例年1年生の荒馬の着付けは、保護者の方が手伝ってくださっています。

しかし今年1年生は、子どもたちだけの時間。

自分の体と同じくらいの大きさの荒馬を、一人で着ることは難しい。

そこで、パートナーの5年生全員が、着付けを手伝ってくれました。

 

前日から、着付けを手伝う5年生は だいぶ緊張気味。

”プレッシャーなんだけど〜”と言いながらも、

説明を聞く表情・着付けの練習も真剣そのもの。

 

一方1年生はというと、パートナーさんのお手伝いに大興奮。

緊張しているのも知らずに、”早く会いたい!”のコールが。

 

当日、緊張も見せずに1年生と出会い、

額の豆絞と、胸の紐をしっかりと結び

”がんばれ!”と声をかけ、送り出してくれた5年生。

 

離れたくなくて、泣き出す子もいたり、

”じぶんで できるよ!”と、言って5年生に見守ってもらうペアも。

いろんな形があって、一つ一つにストーリーがありました。

 

5年生の力をたっぷりもらって、いざ本番!

前日に、

”せかいで いちばんの あらうまをおどりたい。”

”パートナーさんが ないちゃうくらいの あらうまを おどりたい。”

と言っていた子たちも はりきり顔。

 

グラウンド全体に、”ラッセーラー、ラッセーラー”が響き渡り、

その声は1年生だけではなく、いろんな学年が 自分たちもこれまで踊ってきたこの荒馬の民舞を懐かしみながら、共にかけごえをかけてくれました。

 

後日、お家の方がアイロンがけをしてくださった荒馬の袴の中には

「来年の、1年生につなぎます。」のメッセージが。

代々引き継がれる道具と歴史、そして想い。今年もしっかりと、自分たちの色で引き継ぐことができました。

 

小学校【民舞発表会】 [Ⅱ-277]

10月14日(木)、全校で民舞発表会を行いました。1年生荒馬…青森県今別町のねぶたのお祭りで踊られる荒馬を基に〕、2年生桐朋花笠踊り…山形県の踊り。元々は土を掘ったりは混んだりする作業の踊りと言われています〕、3年生桐朋みかぐら…岩手県大森部落に伝わる神楽舞です。それを3年生にあった動きやリズムに変えて構成を〕、4年生ソーラン節…北海道の民謡で、ニシン漁で歌われました〕、5年生エイサー…沖縄本島や近隣の島々で旧盆に踊られる盆踊り〕、6年生中野七頭舞…岩手県岩泉町、中野、小本で踊られている〕が、自分(たち)らしい表現を発表し、お互いの踊りを見合い、良さを発見していました。全員でいい会にできたと思います。(写真は6年生道具の色塗り以外昨日のもの)

いろいろな準備、当日の運営を、5、6年生が中心となって行いました。自分たちの民舞発表会を自分たちの手でつくることを大切にすすめていました。

夢中になってたのしんでいる姿、手や足先まで集中して踊っている姿、音やリズムにのってたのしんで踊る姿など、いろいろな良さを感じました。すばらしい踊りをみていて、自分(たち)もやってみたいという気持ちが育っていくと思います。

1年生は、とっても早いリズムもたのしんで踊っていました。「ラッセラー、ラッセラー」たくさんの応援をいただきましたね。/ 2年生は、手作りのきれいな花笠をくるくるとまわしながらたいへんきれいに踊っていました。「ヤッショウ マカショ トウホウショウ!」元気なかけ声が響きました。/ 3年生は、左手に自分で選んだ扇、右手に自分たちで作った錫杖を持ち、リズムよく、ぴょんぴょんよく跳ねていました。大ジャンプが大きくとてもきれいでした。/ 4年生は、ソーラン節に取り組みました(4年生が取り組み始めて2年目。私は1年目と言ってしまい、間違えました。すみませんでした。全校の人たちがはじめてみることができたのです。)。押す、引く、かつぐ、放る、すくうなど、汗を流して元気いっぱいの踊りでした。/ 5年生は、パートナーの応援をたくさん受け、全身を思い切り使い、太鼓の音を合わせ、かっこいい踊りを見せてくれました。息がぴったり揃っていました。/ 6年生は、七つの道具を見事に扱い、とても長い難しい踊りをしなやかにみせてくれました。これまで踊ってきた民舞の集大成でした。中高の校舎からも拍手が届いていましたね。 

6年生との授業で、6年生が踊っている「中野七頭舞」を話題にしました。きっかけは、6年生の授業が終わった後、教室の後ろで、自分が作った七頭舞の道具を用い、踊っている姿を見たからです。その姿がいいな、自分の道具をつくることによって、踊りに向かう気持ちが増している、たのしんでいると感じました。

 

桐朋小では、各学年で民舞に取り組んでいます。それぞれの地元に伝わる歴史、由来、踊りの意味、伝承している方々の思いなどを知りながら、地域文化の大切さを考え合いたいと思います。

民舞には、道具、衣装、踊りの意味や由来、その地域の生活様式などから、その動きの必然があります。たとえば、七頭舞の「横跳ね」や「ちらし」で前に足をあげるのは、袴をはいて踊ると、裾をあげるためにその動きになるなどです。

6年生が取り組んでいる中野七頭舞について(授業の資料から)。岩手県下閉伊郡(しもへいぐん)岩泉町小本(おもと)字中野が地元になります。宮古市の黒森に伝わる神楽をルーツとするそうです。(江戸時代までにさかのぼるそうです。)桐朋小学校では、1998年より、中野七頭舞を行っています。

七つの道具と七種類の踊り方(道具取り、横跳ね、ちらし、たたかい切り合い、ツットゥツ→激しい労働を意味する踊り、三足、道具納め)で構成され(地元では「ななつもの」と呼ばれる)荒地を測量し、切り開き、開墾し、田畑を作り、耕し、獣と闘い、収穫し、豊作を喜ぶという一連の物語が踊りを通して表現されています。現在は、集落の祭典に奉納されています。この地域は、2011年3月の大震災や2016年の台風で亡くなった方、大きな被害にあわれた方がたくさんいます。

子どもたちには、学校生活で夢中になること、没頭すること、たのしいと感じることをたくさん経験してほしいと思います。今回、自分の道具を自分でつくる喜びと道具を大切に扱う様子を見られ、みんなで踊る喜び、衣装をつけて踊る喜びなど、いろいろと子どもたちは伝えてくれました。

民舞発表会〜憧れ〜

昨日の雨が嘘みたいな青空。

雲の形、空の色、緑はまるで絵本に出てきそうでした。

1日中、太鼓と子どもたちの掛け声・歓声が響き渡っていた今日。

はじめの集まりの言葉に、

「この日をみんなで迎えられて嬉しく思う」

「失敗しても大丈夫。」

「ひとりひとりが踊りの主人公。楽しもう!」

というものがありました。

 

その言葉通り、どの学年の踊りも、どの人も、本当に輝いて見えました。

グラウンドで行う練習の時から、他学年が舞う踊りに興味津々の子どもたち。

荒馬を背負って練習に向かう1年生の姿を見て、

”あぁ、この馬懐かしいなぁ。今やったらどんな感じになるんだろうな。自分たちの時よりも小さく見える。”

と呟く6年生。

4年生が練習していたソーラン節を見て、

“あの背中の絵、自分でかいたのかな?かっこいいね!どっこいしょ〜どっこいしょ”

と話しこんでいる2年生。

そして、中庭では自分たちで道具を作り上げている6年生の姿が。

練習の時から、それぞれの学年の歩みと成長を

日常の中で見て、感じ、

”わたしも5年生になったら大太鼓やりたい!”

”6年生って、やっぱりすごいんだね!ぼくもなれるかなぁ”

と、憧れを抱いてきた時間。

当日も、柵を必死に掴む低学年の姿と、キラキラした顔を見て

民舞の感動を、この場を、全学年で共有できた喜びをかみしめた1日でした。

 

 

 

 

 

受考者専用ページについて

22年度考査に出願くださった皆様

本HPのトップ画面に、赤色のバナー「受考者専用ページ」を設けました。

10月15日正午以降、ご覧いただけます。

 

閲覧に必要なパスワードは、本日(14日)夕方以降に送信いたします志望動機書の受領完了メールに記されます。

ご確認ください。

教務

 

幼稚園プレイデー [Ⅱー276]

10月9日(土)、学年ごとのプレイデー(運動をたのしむ)を実施しました。6月の子どもプレイデーは、3学年の子どもたちで行い、今回は学年ごとにご家族もいっしょに行いました。保護者のみなさまには、参加参観する機会を持つことがなかなかできませんが、今回、お子さんの成長を間近で感じていただくことができたと思います。みんなでたのしい時間を過ごすことができ、ありがとうございました。

たんぽぽの人たち 【はじめのあつまり、よーいどん、とらっくでGO、きんぎょがにげた、おわりのあつまり】

ばらの人たち 【はじめのあつまり、ながれぼし、うちゅうひこうしになりたいな、ロケットぴゅーん、おわりのあつまり】

ゆりの人たち 【はじめのあつまり、わたってくぐってジャンプして走る!、ラグビーボールゴール、せんたくトンネル、全力リレー、おわりのあつまり】

学年ごとにゆっくり、じっくり、集中して力を出す、たのしむ、友だちといっしょに過ごすことができました。保護者のみなさま、拍手やあたたかい声援をありがとうございました。

ゆり組の子どもたちは、当日にお互いに見合い、応援することができないため、「たんぽぽさん、ばらさん、がんばってね。応援しているからね。」という気持ちを込めて、ぴかぴかのブレスレットを作ってくれました。(保護者の方からは、「プレイデー前日に、ゆり組さんから腕輪をもらったことをとても喜んでいて、当日も自分で忘れずに、その腕輪を持っていく用意をしていました。一緒に開催できないプレイデーでも、他の学年と繋がりを感じている様子が感じられました。」など感想をいただきました。)

また、親子競技「とらっくでGO」の取り組みで、ゆり組の一人ひとりがたんぽぽ組の人の保護者の役割して、トラックのリレーに参加をしてくれました。

当日はお互いに応援できなかったけれど、前の日までにいろいろな関わりを大切にしました。

子どもたちの中には、(やりたくない。)、(やりたい気持ちはあるけど、負けるのが怖い気持ちもある。)などの気持ちを出す人もいます。自分の気持ちや思いを振り返り、自覚できるようになっていることや気持ちは一つではないことを学んでいます。保育者は、「この葛藤を自覚できていることがすごい」と受けとめました。そのうえで、「どうしたら気持ちよくできるか? みんなだったら、どうする?」と尋ねると、「かってもまけてもいいんだよ。まけた人にトントンってしてあげる。」「いいしょうぶだったね、って言ってあげる。」などと伝えてくれました。

子どもに身体の感覚を聴いてみたら、「疲れた」「はぁはぁした」「足がちょっと痛い」と伝えてくれました。思いっきり身体を動かした時の自分自身の身体の感覚を味わうことを大切にしていきたいと思います。

プレイデーの活動を通して、身体を動かすことは気持ちいい。みんなで一緒にやるとたのしい。勝ってうれしいな! 負けてくやしい、など、いろいろな気持ちを味わい、成長していると思います。

ヤッショウマカショウ桐朋小♪

2年生の民舞は山形の「花笠踊り」です。

とにかく、楽しく踊ることが一番です。
ちょっとしたミス、踊りが合わないことなど気にせず、自分らしく表現することを大事に、踊りや動き方の質を高めることを目指しています。

「楽しくって、何回も踊っているうちに覚えてしまったよ♪」
「(練習後に)もう一回踊りたかったよ!」

こんな風に楽しく踊る中で、身体で覚えていくことはとても素敵です。

 

そんな踊りが楽しい感覚に、質を高めるスパイスを。

隊形変化の多い桐朋の花笠踊りは、ちょっと先を予測して、次の動きに備えることを意識的にやっていくことがポイントです。次の動きの数秒前に

「次は、移動だ!」
「次は、膝をついて踊るぞ!」
「次は、班でフォーメーションだ!」
「次は、外側を向くぞ!」

こんな、動きの予測をするのです。これが、だんだんスムーズにできてくると、無意識に体が反応して、踊れるようになってきます。

子どもたちは動きを予測するために、友だちと声をかけ合ったり目を合わせたりして、助け合いながら楽しく踊っています。

個人の学びのペースを尊重しながら、このスパイスを一人ひとりが少しずつ取り入れてよくがんばっています。

そこがいいぞ、2年生! 本番が楽しみです。

せ~の、ヤッショウ マカショウ 桐朋小 ♪

 

先生たちの一コマ

子どもたちが帰った後の桐朋小学校は静か、

かと思いきや

今度は先生たちの声で溢れかえっています。

 

子ども一人一人のことを思い出し、

今日面白かったこと、素敵だったこと、聞いてほしいことを

学年団や元担任、周りにいるひとに共有します。

 

担任だけでは見えなかったことも、

この時間に

「あの時 こんないいことをつぶやいていましたよ。」

「1年生が困っていた時、この子が真っ先に助けてくれたんです。」

など、この時間を通して気づけることもたくさんあります。

 

時には、5年生の社会科でフェアトレードを学んだ後の

実物を、先生たちがお買い物することも。

この時ばかりは、先生たちも子どものように慎重に吟味しながら商品を選んでいました。

食べ比べ、なんかしてみても面白いですよね。

 

そして、もうすぐ運動会。

みんなが帰ると、先生たちの秘密の特訓が始まるのです。

民舞を現地まで学びに行き、研究する教員もいます。

先生たちも、みんなと一緒に学んで頑張っているんだね。

みんなと一緒に、最高の時間を創り上げられること、たのしみにしています。

あと少しだね!がんばろう(^^)!

 

 

子どもの育ちと「デジタル」考 [Ⅱー275]

 

9月24~25日、園庭改修工事を行いました。6枚の写真は工事に関わるもの

現在、未来で、子どもたちは、情報通信技術を活用することが多くあると思います。教育の目標を「社会の良き担い手を育てる」こととすれば、情報通信技術の活用によって、自分たちの生活、社会、世界をよりよくしていくことを願い、学ぼうと思います。その学びが、日本国憲法の基本理念である国民主権、基本的人権、平和主義を土台に「生存権としての学習権」を守り育て、みんなが幸せになる平和な世界の形成を目指すことにつながるようにしたいです。

夏休み、ヨーロッパの「デジタル・シティズンシップ」について学ぶ機会を持ちました。長年にわたる民主的シティズンシップのための教育と人権教育プログラムが土台にありました。その上で、「デジタル・シティズンシップ」を、民主主義とシティズンシップ教育として位置づけていました。目的が、「『文化的に多様な民主主義社会の中で平等な存在として共に生きる』市民として子どもたちに準備」することで、具体的な実践が展開されていました。

ヨーロッパの「デジタル・シティズンシップ」と比べると、私たちは、子どもの発達と教育を中心とした長年にわたる議論、実践、理論がなく、急速に、情報通信技術に関する教育がすすめられていると思いました。もっと時間をかけて考えていく課題です。

新しく大きな〔きょうりゅう山〕の誕生

子どもの育ち(「読み」に角度をつけて)とデジタルについて考えます。参考文献として『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳 「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』(メアリアン・ウルフ著、大田直子訳、インターシフト)を読みました。全体に、「デジタル」が子どもの「読み」に負の影響をもたらしていると捉えました。そうした状況に対して、作者は「比較的早い段階からデジタル学習と画面読みの適切な使い方を教えなければ、次世代の深い読みプロセスはデジタル媒体によってとくに危うくなると確信しています。」と述べています。まだよく理解できていないこともあり、今後さらに、子どもの育ち(「読み」に角度をつけて)考えていきます。納得できる「比較的早い段階からデジタル学習」についての実践、理論を探し、検討します。

本書で作者は、「読む脳」の「深い読み」の発達を大切にしています。ここは大いに学ぶことがありました。「読む脳が発達するほど、「深い読み」ができるようになる。これまで培ってきた知識(背景知識)、推論、分析、共感・視点取得などが統合され、新たな思考モードを生みだす。この思考モードは、文章や情報を自分なりに咀嚼し、批判できる洞察力、創造力を備えている。」ことがたいへん丁寧に書かれ、納得することが多くありました。

「ところが、デジタルメディアによる情報が氾濫している今日では、こうした「深い読み」を育むことが難しくなっている。斜め読み、飛ばし読みが標準モードとなり、文章の細部に分け入り把握する力が失われつつあるのだ。」、「デジタルは注意を散らし、予想力、記憶力を低下させ、外部の知識ベースに頼りがちになるため、あふれる情報を分析・批判する能力も育ちにくい。(略)このことは、共感力の低下、異なる文化をもつ他者への無理解、ひいては民主社会への危機にもつながる。」と危惧されていることも理解できます。

しかし、作者は、「デジタル」を「悪者扱いせず」、次のように述べています。「デジタル力も同様に、上手く育てていくことが欠かせない。そのためには、適切な時期に、適切な教育を、適切なデジタルツールによって進めることが望まれる。たとえば、コンピュータの言語記述や設計、プログラミングのスキルなどの習得も、精密な深い読みを促す。こうして子どもたちは、紙とデジタルの脳回路をそれぞれ育み、流暢に切り替えられる「バイリテラシー脳」となっていく。」と書かれていました。ここをもっと知りたいと思いました。実践と検証、理論の深まりに期待し、さらに考えていきたいと思います。

 

古木のソメイヨシノを、残念ですが伐採し、子どもたちの新たなあそび場へ

来年の「ぼくたちのおどり」

3年生が校庭でみかぐらの練習をしています。

赤・黄色・緑、、、カラフルな扇がくるくると目を惹きます。

たまたま通りがかった2年生がふたり、足を止めて会話していました。

「ねえ、ねえ、3年生の踊りはなんていうの?」

「みかぐら(御神楽)じゃない?」

「ぼくたちも、来年やるんだよね!」

「扇の色、いろいろあるね」

掛け声と太鼓の音が激しくなるにつれ、ふたりもその場でくるりくるりと一回り。

しばらくすると、また二人でおしゃべりしながら低学年校舎へ戻っていきました。

 

そういえば、昨年は他学年の踊りをじっくり観る機会を持てませんでした。

こうした何気ない機会のひとつひとつが、憧れの気持ちを作っていくんだなあ、としみじみ感じました。

民舞発表会の2年生の踊り「花笠」も、楽しみにしています!