おみせやさんをひらきましょう①

「ねえ!1西みんなで、おみせやさんがやりたい!」

「いいね!やりたーい!」

何気ない会話から、突然それは決まりました。

私は、

「みんな・・・あと2週間くらいで、夏休みなんだよ。1学期終わっちゃうんだよ。」

「ひらがなもあと何個か残ってるし、算数だって、荒馬の練習だってあるんだよ。」

「たぶん・・・おみせやさんの準備に時間が使えるのは、みんなが頑張れば5時間くらいかな・・」

子どもたちは、

「大丈夫!」

「休み時間や放課後もやっていいでしょ?」

もう、誰もこの24人を止めることはできません。

私も、なんとか「おみせやさん」ができるように準備をしようと腹を決めました。

こうして、あと数日で1学期が終わろうとしていた6月下旬、1年西組24人の子どもたちは、「おみせやさん」をやることになりました。

なぜ、1西の子たちは「おみせやさん」がやりたくなったのでしょう?

それは、6月上旬から中旬にかけて、2年西組の子たちが、1年生を楽しませてくれるために、様々な「あそび」を企画して、楽しませてくれたのでした。

 

約束通り、授業中に準備にあてたのはきっかり5時間。

まずは、話し合いで次のことを決めました。

①「おみせやさん」をやる目的は?→1西のみんながもっとたくさんおしゃべりしたり、仲良くなったりしたいから。

②どんな「おみせやさん」を作ったら、みんなと仲良くできるのか?→ホテル、恐竜博物館、お菓子屋さん、マンガ屋さんなどなど

③何を作るのか?何個作るのか?誰が作るのか?

大まかな内容を決めて、あとはひたすら作ります。

店長会議を何度か行って、今、どのくらい進んでいるのか?今日のゴールはどこまでなのか?を確認しながら進めていきます。

4、5、6月の3ヶ月の間、毎日の遊びの中で、あれだけ自分の気持ちをぶつけ合っていた子どもたちですから、当然トラブルが起き、「おみせやさん」の準備期間、「おみせやさん」の開店を待たずに、分裂、閉店するかと思いきや、リーダーを中心に、役割分担をしたり、互いのアイデアを受け入れながら準備をする姿に、1年生の成長を感じることができました。

 

さぁ、この子たちの「やりたい!」がどんな形を迎えるかは、また次回をお楽しみに。

 

 

その子その子が、いまを生きる [Ⅱ‐274]

幼稚園の園庭に、ビワの木がある。セットバック工事の際、園庭の端っこにあったビワを伐採しなくてはならないか移植するかで悩んだ。それまで子どもたちは木登りに使い、葉や実をいただいてきた。

木登りの木について、後悔したことがある。ビワの木に向かって斜めに生えた木があり、そこを登っていくとビワの木に移れて、挑戦する子がたくさんいた。ところが斜めに生えた木が倒れてしまう危険がわかり、安全のために切られてしまった。事前に、子どもたちに伝えられず、子どもたちは突然なくなってしまい悲しんだ。子どもたちに申し訳ないことをしてしまった。謝った。  

やはり、根づくかどうかわからないと言われても、移植することを選んだ。夏の間、毎日水をたっぷりあげた。子どもたちは登らないでいた。ビワの葉が大きく育ち、実をつけてくれた。

実を採りたい子どもたちは、ビールケースを逆さに積み上げ、先生、友だちに支えてもらい、順番を守りながら、登って実を採ろうと試みる。登る勇気のある子に、憧れを抱く子がいた。採ろうと試みる過程に豊かさがある。

年中の子が、高いところまで登り、実を採った! 周りにいた保育者が持って降りるのを危険と考え、実をあずかると声をかけたが、その子はへたを取り外し、投げてよこした。実はしっかり持って放さなかった。その様子から、自分の実、自分が採った実、自分が高いところまで登って採った実という強い気持ちを感じた。

          今年のレモン、ムクロジも育っています 

暑い時期、子どもたちはペットボトルに水を入れて遊ぶ。ペットボトルに土を入れて遊んだりもする。土を入れるとなかなか取れない。水遊びで使いたくなっても、土が取れなくて困った子から、とってほしいと言われた。取ろうとして思い切り振ってみたり、木の棒でほじくり出そうとする。その様子がたのしそうと感じたのか、その土入りペットボトルをどうしてもほしくなった子がいた。その子はペットボトルを持っていってしまう。返してほしいと何回か言うが、返してもらえない。そうしたやりとりをしているうちに、その子がいなくなった。その機会に土入りペットボトルを取り戻そうとした。

その子は部屋のロッカーから、自分のペットボトルを持ってきた。その子にとって、土がつまったボトルは魅力的だ。だけど、それは自分のではない。土を取って水鉄砲として遊びたい子の気持ちも考えた。そして、自分のペットボトルを持ってきて渡すことにしたと思う。

 

             わたしのかぞくがいるんだ

保育をしていて、心がふるえる瞬間がたくさんある。忘れず記録しておきたい。

 22日、しぜんひろばの手製ブランコのロープを新しくしました。3年生の人たちが座るところを直してくれました。3年生の人たちは、3歳(たんぽぽ)さんの乗りたいという気持ちを聞いて、新しいブランコに乗せてあげました。

2022年度考査 提出資料ダウンロード開始します

出願についてのお知らせです。

 

本日(9月17日)12:00より出願サイトで出願者の情報を登録いただくことができます。

10月1日(金)~10月3日(日)の受考料の振り込みをもって、出願完了となります。お早めにお手続きください。

*お問い合わせのお電話は

10月1日(金)/2日(土) 10時~14時 に限りお受けいたします。

 

また、マイページにて『志望動機書』のダウンロードも開始します。

指示に従い印刷、ご記入の上、指定の期間内に本校へご郵送ください。

 

出願サイトご利用にあたって

手続きが進められない場合は、以下をお試しください。

一度ページを閉じて再度ログイン または 更新を行う。サイトのページを開いたままではマイページが更新されません。

・『backspace』キーや『』(戻る)キーは使用できません。ページ内の〔戻る〕をクリックまたは、再ログインして操作を続けてください。

 

桐朋小学校 教務

秋のおくりもの〜金木犀の香り〜

ある日のおはようのあつまり。

 

今日は、秋の香りを楽しみにいくことにしましょう。

澄んだ空気の中、金木犀の香りを嗅ぎにいきました。

 

”わぁ〜、これがにおいの しょうたいだったのか!”

”あまい〜!いいかおり!おせんたく につかえそうだね。”

”あますぎる〜、においが つよくて にがてだな”

 

様々な声が聞こえてきましたが、会えているからこそ共有できるこの時間を

愛しく思いました。

 

そして、夏休みのおみやげで、立派なまつぼっくりを持ってきてくれた子がいたので

今日は しぜんひろばで 工作しましょ!ということに。

 

しぜんひろばを自由につかって、木や葉っぱ、使えそうなものをボンドでくっつけたら

素敵なまつぼっくりアートの完成。

 

「ねこじゃらしも使えるかな!」

「さっきにおいをかいだ、きんもくせいをつけたら、いいかおりのツリーができあがるね!」

「あぁやってみようかな」「これも あきのはっぱだね。あきのいろだね。」

「ねぇみて!ここにビーズをくっつけてみたの」

「ここが顔でね、これは・・・つけたかったからつけてみたの!」

 

”こうしなきゃ!”ではなくて

”こうしたい”っていいなぁとしみじみ。

しぜんひろばが 工作室に大変身した時間でした。

  

秋のおくりもの。自然にも感謝です。

ひろびろ青空ステージ

分散登校最終日。

6年生の音楽の授業も、クラス半分の人数で行いました。

以前はぴったりと机をくっつけて、息遣いや表情を感じながら過ごしていた教室。

それが市松模様のような配置で座るのですから、なんとも不思議です。

まずは、新しい歌のピアノ伴奏を聴きながら歌詞を目で追い、どこまで進んだかを当てっこしました。

「夏休みの宿題」だったアルトリコーダ は、マスクをした顎で支えて「指リコーダー」で確認です。

 

この日の午後の部は、夏が戻って来たような快晴。思い切って屋上に出てみることにしました。

音楽室のすぐ横の螺旋階段をのぼると、そこは素敵な青空ステージです。

「暑い〜」「まぶしい〜」と言いながら、みんなちょっと嬉しそう。

太陽を背に一列にならんで、紹介したばかりの曲を少し流しました。

ひろびろした空間で、息を吸って、そっと声にする。

室内よりも、みんなの表情が少し緩んでいるように見えました。

(影の濃さで日差しの強さが伝わるでしょうか?眩しすぎてポータブルスピーカーの表示が見えなくなった先生は、「次は日傘を持ってこよう」と呟きました。)

6年地球市民の時間

夏の日の「平和ワークショップ」。

PEACEboatに乗って各国を周り、核廃絶運動をする松村さんにお越しいただきました。

そこでたくさんの学びがありました。

平和ワークショップは、各国(日本・アメリカ・シリア・コスタリカ・南スーダン・東ティモール)に6人ずつわかれ、

それぞれ条件がある中で、武器(4㎝の□)、車(直径3㎝の○、食料(2cmの△)を世界銀行に持っていき、お金に換えてもらうゲームです。

チームの中には、総理大臣、外務大臣、財務大臣がいて、総理大臣はリーダー、外務大臣は、各グループを周り交渉、そして外務大臣だけが世界銀行に行ける、というルールがあります。

また、配布されえる道具も違います。

鉛筆や定規、分度器、はさみ、白い紙などが初めから支給されている国もあれば、紙と鉛筆しかない国もあります。

これは、あとから種明かしされるのですが、道具は技術、白い紙は資源になります。

また、国によって条件があります。「武器を作ることができない」と書かれた紙が入っている国(コスタリカ)が、高いお金で買い取ってくれる武器は作れません。

また、作れるが取引できないという国(日本)もあります。

これは、憲法が関わっていることもあとでの種明かしの時に話されました。

みんな本当に盛り上がっていました。

「本当の豊かさとは何なのか。」

「強い国って、どういうことを指すだろうか。」

彼らの心の中には、様々な種がまかれています。

これから、その問いといろんな形で向き合っていくことが楽しみです。

 

豊かな畑。〜成長の喜びをかみしめて〜

2学期初日。5年生は夏休み中にできなかった畑の草取りをしました。

畑はもちろん、通路も雑草でふさがれている状態。

雑草も根が深く、シャベルを使わないと取れません。

「3人で引っ張っても抜けなーい!」

「見て見て、綿ができたんだよ!」

「このオクラ、20㎝くらいある…」

持ってきた軍手を泥で真っ黒にしながら、

夏休みの話もしながら、みんなで頑張りました。

 

大きなオクラにピーマン、綿に藍。

田んぼの稲も、実をつけています。

秋にはお米の収穫、綿の収穫もあります。楽しみ楽しみ!

すっかりきれいになった畑を後に、子どもたちは満足そうな顔で帰っていきました。

 

「好奇心こそ、学びのエンジン。知を追求するための環境がここに。」[Ⅱ‐273]

9月4日、桐朋中学校へ行ってきました。昨年度6年生だった人たちが、桐朋中学1年生となり、どのように生活や学習、友だちとの関わりなどをつくっているかをお聴きしました。先生方に支えられ、励まされながら、中学校の新しい世界で自分(たち)を変化、成長させようとしている様子を嬉しく思いました。先生方が、一人ひとりをよく見てかかわってくださり、一人ひとりの良さをていねいに伝えてくださり、見方(味方)やかかわりに学ばされました。

中学生の『桐の朋』研究報告(日本史、生物、数学、地理、世界史、化学、物理、家庭など様々な分野のもの)・作品(音楽、美術、技術・情報、書写・書道など)集58号をいただいてきました。中学生は何をどう学んでいるのか。卒業生はどんな研究をしているのか。「〇〇さんは◇◇について研究しているんだ。小学校でも好きだったなあ。研究が深まっている。」など、たのしく読ませていただきました。

 

     園庭でダンゴムシを探しています

卒業生の野鳥観察を中心にした研究では、「野鳥観察を通して、自然の素晴らしさ、大切さ、かけがえのなさを伝えるとともに、生物多様性、環境問題の現在について考えることにしたい。」と、最初に書かれ、小学生時代のことから観察記録が綴られていました。引用させていただきます。

「八ヶ岳には、僕の小学校の寮があり、そこの管理人のT夫妻と親しくなって、小学校の夏休みや、冬に泊まりに行った。この寮には小さな森があり、そこを小学校の時探検したりした。小学校6年生のゴールデンウイークに1週間ほど八ヶ岳に泊まりに行った時、キビタキやオオルリを見、本格的に野鳥を好きになった。またT夫妻は拾った羽を僕にくれた。ヤマドリの尾羽を貰った。その時は、本当に嬉しかった。また、別の時には寮内の小さな池にカワガラスというとても珍しい鳥がいたことがある。僕は毎日頑張って写真を撮ろうとしたが、ある日その小さな池の前の部屋の窓ガラスにぶつかって死んでしまった。こういうことはしょっちゅうあるらしいのだが、やはり珍しい鳥だととても心が痛む。その時僕は泣きながらその羽を採取した。」この人は、小学校時代から野鳥が好きだったことを思い出します。

その後は、さまざまな場所での観察記録と写真がよくまとめられています。そして、全体的な考察では、「環境破壊がすごい勢いで進んでいる」「家の近くでは団地が取り壊され、マンションの建築が進んでいるが、そのために木がすべて切られてしまい、そこを巣にしていた鳥たちが移動した」「多摩川に観察に行ったときには、護岸工事の影響で、猛禽の行動範囲が変わってしまうことを見た。また、東京湾で最も豊かな自然が残る三番瀬にも埋め立て計画がある。もし、この工事が進めば、生態系は壊滅的な影響を受けるだろう。このように、野鳥観察をしていると人間の自己中心主義的な態度に腹が立つ。」などと書かれていました。いっしょに考えていきたいと思いました。

『桐の朋』のはじめに、原口校長先生が「(前略)コロナウイルス感染症の流行により、4・5月は臨時休校。そのため、夏休みが2週間ほどとなった2020年。通常であれば、夏休みを中心に取り組む自由研究を、2学期かけて行うこととなりました。イレギュラーな状況ではありましたが、力作の揃う『桐の朋』ができあがりました。遠出しにくい状況でしたので、日頃から関心を抱いていた内容について探究した作品が多いように思います。/「雲は、空を見上げればほとんど毎日見ることのできる、とても身近な大自然です」/荒木さんと同じように、「身近な大自然」を感じ、研究に励んだ作品をしっかりと精読し、芸術として仕上げた作品をじっくり鑑賞したいと思います。」と書かれていました。中学生の学びの深さに感動します。さらにじっくりと、味わいたいと思います。

桐朋中学校(高校も)は、「好奇心こそ、学びのエンジン。知を追求するための環境がここに。」/「もっと知りたい」、「この先に広がる景色を見てみたい。」/そんな気持ちに応えるための学習環境が、桐朋にはあります。」〔学校案内〕。卒業した人たちの様子を聴いて、また研究報告書を読ませていただいて、初等部も同じ願いを大切にしていきたいと思いました。桐朋学園は、2021年度に創立80年を迎えました。学園全体で、「一人ひとりの人格を尊重し、自主性を養い、個性を伸長する、ヒューマニズムに立つ『人間教育』」(教育理念)を大切にしていこうと思います。

務台理作先生。1946年、教育刷新委員会に所属し、教育基本法制定に尽力。「平和憲法下の新理念に基づく教育基本法制定」を主張。議論では、「平和というものの教育価値を強調」。1947年、学校の教育目標を教育基本法に基づき「自主、敬愛、勤労」と定めた。桐朋学園の理事長及び校長を兼任。