運動会の取り組みを振り返る[Ⅱ-365]

中野七頭舞、市川直美さん、沖縄園田青年会、荒馬保存会の皆さん、たいへんお世話になりました

それぞれの方が、美しい、しなやかな、力づよい、気持ちを込めた踊りを、私たちの目の前で見せてくれました。私たちのやる気を引き出し、ぜひあんなふうに踊ってみたい、踊りたいという憧れを育くんでくれました。ありがとうございました。

6年生の中野七頭舞の授業では、3回来校し、七名の踊り手の方が七つの踊りを見せて、一緒に踊ってくれました。ここがいいよ、こう踊るともっとよくなるよ、などと認め励まし、見本を見せてくれました。運動会前日、沖縄から園田青年会の皆さんと市川直美さんが来て、授業で踊ってくれました。放課後も一緒に踊ってくれました。太鼓がからだ全体に響き渡り、力づよさやかっこよさなど、いろいろなことに心をふるわせました。そして本番も一緒に踊ってくれました。市川さんは講師時代から40年以上、園田青年会の皆さんには25年間お世話になっています。荒馬保存会の小田切さんも、21年目の今年も大きな太鼓を打ちならし、子どもたちの踊りを見事に支えてくださいました。私たちにとって、宝物となる、とってもたのしい時間でした。

運動会で大切にしたい、育ってほしいと考えていること

●日常の集団活動を通して、その大切さを知ると同時に、全校児童が一同に会することの少ないので、全校児童が目的や行動を一つにして、喜びや楽しさを共有することを大切にしたい。

●児童・教員が様々な役割を分担、協力することにより、自覚的、自治的な力を獲得できるようにしたい。

●体育学習を通して獲得した技能や協働を充分に発揮し、それを達成した喜びを味わえるようにしたい。

●フェアプレー、ノーサイドの精神で、対抗競技に向かうことを身につけたい。

教員全員で、大切にしたい、育ってほしいという願いをもち、子どもたちにかかわり、新たな試みと試行錯誤をしながら運動会をつくっていきます。

人間、保育、教育に関して学ぶことの多い佐伯胖さんが、「文化的実践」ということを述べています。佐伯によれば、「文化的実践とは、よりよく生きるために、継承しつつ、創生しつつ、発展しつつ、変容しつつある人々の集合的な営みを特徴づけたもの」。運動会の取り組みは、よりよいものを模索して、味わい、さらによくしていこうとする試みと捉えれば、文化的実践と考えられるのではないかと思います。

 

運動会(私の感想)

2023年度の運動会は、4年ぶりにペナントが空高くあがりました。子どもたち、先生たち、おうちの人たちが協力して、できました。その景色は懐かしく、とてもいいものでした。3~6年生の大玉リレーでは、3、4年生が2人組で協力して大玉を転がし、5年生が4人組でバランスよく布を使ってすばやく大玉を運び、6年生が4人組で力を合わせて大玉を持ち上げて運ぶことをしました。コロナでできなかったことができるようになって、喜び合いました。

1人ひとりの係の仕事ぶり、たいへん良かったです。その仕事をやりとげていくことで、子どもたちが主役の運動会をつくっていました。

民舞や対抗競技では、これまでの取り組みの成果を発揮していました。一生懸命に取り組んだことを喜び、うまくいかない時には、お互い励ま合いました。そして、いろいろな学年の人たちをみて、「これ、やってみたい」などの憧れをたくさん育てていると思いました。

保護者の皆さん、いろいろな仕事、準備をありがとうございます。子どもたちへのあたたかい眼差し、声援をありがとうございました。

みんなで、いい運動会をつくることができました。ありがとうございます。

本日の運動会について

 本日の運動会は予定通り開催します。
 天候等の影響で多少進行時間が変わることもあります。
 ご承知おきください。

 ・保護者は、入校証を見えるところに身につけてください。

 ・早すぎる来校はお控えください。

  係の子ども達も、8時になるまでは校舎に入れません。

 

桐朋小学校 教務

運動会【民舞】 [Ⅱー364]

桐朋小学校の運動会は、前半は体育学習の成果の発表として民舞を、後半は赤白組による二色対抗競技等を行います。

運動会の取り組みを通じて、子どもたちの主体性を育てることを大事にしています。たとえば、開会式のエール交換では、応援係の人たちが考えた応援を1~6年生のチーム全員で行います。司会進行、整列、誘導、競技のリード、用具準備、ライン引き、他にも子どもたちが取り組み、運動会をつくります。4~6年の係の人たちの取り組みや各学年の民舞などをみて、「あっ、自分もやってみたい」など気持ちが動き、憧れを育てることも大切にしています。

 
係の人たちの様子

民舞について紹介します。全学年が発表します。古くから人々に伝えられてきた日本の踊りを表現します。

●一年生「荒馬」 青森県今別町の踊りで、ねぶた祭りの踊りがもとになっています。「ラッセラー!ラッセラー!」威勢のいい掛け声や太鼓のリズムに、一年生がたのしく駆けまわります。

●二年生「花笠踊り」 花笠音頭に合わせて踊る山形県の踊りです。自分たちで飾りつけした花笠を持って、元気な歌と掛け声に合わせて踊ります。

●三年生「桐朋みかぐら」 岩手県大森村に伝わる神楽舞を、踊りやすくアレンジしました。秋の豊作や幸せを願う気持ちがこめられています。日本の踊りがもつ独特の調子を味わいつつ、表現します。

●四年生「ソーラン節」 北海道ニシン漁をもとに創作された力強くキレのある踊りです。自分たちでつくった法被を身に着けて踊ります。

●五年生「エイサー」 沖縄本島や近隣の島々の盆踊りです。祖先の霊を供養し、無病息災を願い、家庭の繁栄を祈念します。桐朋小学校では、長年、沖縄市園田青年会の踊りを取り入れています。太鼓を打ち鳴らし「はやし」を入れながら、大地を踏みしめ、勇壮に踊ります。

●六年生「中野七頭舞」 岩手県岩泉町小本の中野地区で約180年前から踊られています。七つ道具を持ち、農地を開拓していきます。木を切り、畑を耕し、けものを追い払い、豊作を祝い、仕事の苦労をいやすというものです。大変難しい踊りに取り組みます。

 
3、4年民舞の様子

私たちが考える民舞

民舞は、民俗舞踊をもとにして、主に教育現場で教材として踊られてきました。その大もとの民族舞踊とは、日本各地で地域の祭りや盆踊り、神楽の奉納などで踊り継がれてきた芸能です。それらの多くは、日常生活の労働の中で培われてきた身体の使い方が、踊りの元になっています。

民族舞踊は、歴史的に地域の祭りなどの場で踊られ、地域の中で世代を超えて人と人を繋ぐ大切な共有財産、かけがえのない文化でした。人々は踊りを通して、繋がり合い、連帯し、生きる喜び、祈りや願いといった感情を共有しました。労働する農民などが生み出した本来の踊りは、たくましく、躍動感にあふれた全身的なものだったのでしょう。そのような踊りが、代々受け継がれる中で、力を効率よく使うことや合理的な動きになっていき、つまり「最小の労力で最大の効果」を発揮する、自然の理にかなった動きに洗練されてきたと思われます。日本の踊りは地を志向している。腰を安定させ、地に足をつけ、大地に根ざして労働し、生活してきた人々の身体の動きや所作とも関係するでしょう。

現代は、そのような労働が私たちの日常にほとんどなく、環境も生活も昔に比べ大きく変化しました。こうした中で私たちが見失ってきた身体の感覚を問い直す必要があると考えています。また、今私たちが感じる子どもの身体の変化、たとえば「体がかたく、ぎくしゃくした動き」、疲れやすく落ち着きがない、胸が閉じていて呼吸が浅いといったことも無関係ではないのでないかと考えます。

そこで、身体感覚をよみがえらせ、身体を耕していくことが、現代の私たちにとって必要と考えます。身体を耕したり、しなやかな身体をつくっていくために経験させたい動きの一つであり、教材であると考えます。そして、このような踊りを通して、自分を身体いっぱいに表現したり、その楽しさをみんなで共有し、繋がり合い、一つのことをつくっていく経験が、子どもたちの心に働きかけることも大きいと考えています。

長い時間をかけて人々に受け継がれてきた踊り、民舞を、子どもたちと踊ることの意味がここにあります。

*「桐朋小学校 体育集大成 ―民舞―」より

 
3~6年大玉リレー

ロマナ・ロマニーシンさんとアンドリー・レシヴさんの来校➃ [Ⅱ-363]

9月22日、『戦争が町にやってくる』(ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作、金原瑞人訳、ブロンズ新社、2022年)に関わる人たちが桐朋小学校に来てくださり、6年生との授業をつくってくださいました。ありがとうございました。

参加者は、授業を通していろいろなことを感じ、考えました。

「今回、ロマナさん、アンドリーさんが説明してくれて、僕が一番心に残ったのは、『戦争中でも日々の日常は大事にしたい』という言葉です。/僕は最初、『何でそんなに笑顔でいられるのだろう?』と疑問に思いました。でも2人の話を聞いていると、『確かにいつも通りにしている方がいいな』と感じました。」

「私が一番心に残った言葉は、『あなたたちにできる事は1つ。勉強すること』です。確かに勉強をしていれば、戦争が始まっても、反対の声をあげることが出来ると思ったからです。」(どちらも、前出コラム[Ⅱー361]から)

 東京新聞10月4日夕刊より引用

今回は、読売新聞、東京新聞の記事を紹介させていただきます。

9月26日、読売新聞朝刊 平和な日常の価値 絵本で訴え ウクライナ作家2人来日

今月22日、桐朋小学校(東京都調布市)の平和教育の授業で、6年生の児童61人を前に2人は語りかけた。/授業中、繰り返し使ったのが「日常」という言葉だ。ウクライナ西部の町、リビウで空襲警報におびえながら暮らす日々を語る一方、アトリエのバルコニーで、アイスを手にほほえむ2人の写真を児童に見せた。

ロマナさんは、「戦争が始まってから、平和な日常の大切さを知りました。空襲警報が鳴るまでの間を楽しめるように、家族や友人たちと過ごす大切な時間を作るようになった」と説明した。アンドリーさんは、「『本当に戦争中なのか』と思うかもしれないが、笑顔で頑張らないといけない」と語った。

2人の講演を聞いた児童からは、「ウクライナの子どもはどんな生活をしているの」「私たちに出来ることはなんですか」と、次々と質問が寄せられた。/アンドリーさんが「あなたたちはきっと、日本のリーダーになって、世界から戦争をなくしてくれると思う。しっかり勉強して」と呼びかけると、子どもたちは真剣な表情でうなずいた。Kさん(12)*は、「戦争中でも、楽しみを見つけたり、日常を大切にしたりしているのはすてきだと思った」と話していた。*新聞では、本名が掲載されています。

『戦争が町にやってくる』は、2014年にロシアがウクライナ南部のクリミア半島を一方的に併合した際、「戦争について親子で話すきっかけにしてほしい」と制作した。平和な町に突然やってきた<戦争>を、住民たちが力を合わせて追い出し、復興に取り組む物語だ。/素朴なタッチで描かれた登場人物たちは愛らしく、戦争の無慈悲さを際立たせる。ただ、昨年2月にロシアによる侵略が始まった当初は、何げなく描いた猫の表情が恐怖にゆがんでいたという。ロマナさんは「戦争が繰り返される怒りやむなしさが、絵に出ていた」と振り返る。

今年5月には、『旅するわたしたち On the Move』(同、広松由希子訳)が刊行された。海や山、宇宙まで、何万年もかけて移動しながら、新しい世界を開いてきた<旅>を描く。/「どんなにつらくても、動き続けることで、光のあるところへ行けるかもしれない」。遠く離れた日本へ旅してきた2人は、飛行機から太平洋の大海原が見えたことがうれしかったという。

10月4日、東京新聞夕刊 創作体験からのぞく戦争と平和

絵 子どもたちに安らぎ 

ウクライナ在住の絵本作家ロマナ・ロマニーシンさん(39)とアンドリー・レシヴさん(39)夫妻が9月、東京都内の小学校で講演し、戦時下の日常や平和の大切さを伝えた。「絵本は子どもたちに安らぎを与えてくれる」と強調した2人は日本滞在中、親子連れらに絵を描いてもらうワークショップにも参加。「アートという武器を手に、戦争を終わりに近づけたい」と願いを込めた。

 

ウクライナの絵本作家夫妻訴え 都内

「戦争中でも、野菜や花を育て、なるべく普通の生活を過ごしています。笑顔で頑張っていかないと」

9月22日、桐朋小学校(調布市)の6年生約60人に案ドリーさんが語りかけた。ウクライナ西部のリビウで創作を続ける2人。この日は、現地の生活や街の様子、破壊されたホテルなどの写真を映し出し、1枚ずつ説明。「今も、ミサイルの警報が鳴ると、街の人たちはシェルターに避難しています」と伝えた。

2人は、日本語版が昨年刊行された絵本「戦争が町にやってくる」(ブロンズ新社)の著者。絵本は2015年、ウクライナ南部・クリミア自治共和国へのロシアの侵攻後に制作した。

「日常の大切さ」

「平和な日常の大切さは、戦争が始まって、初めて分かった」とロマナさん。桐朋小の子どもに「しっかりと勉強して、この国のリーダーになって、世界から戦争をなくして」と呼びかけた。授業を受けたyさん(11)*は「日本も平和をかみしめて、生活していかなきゃダメだと思った」と話した。*新聞では、本名が掲載されています。

ロマナさんによると、ウクライナでは今、お気に入りの絵本を心の支えにしている子どもが多いという。「絵本を触り、ページをめくることで気持ちを落ち着かせ、自分の存在を感じ取っているのかもしれません」

2人は翌23日、渋谷区内で開かれたワークショップに参加。親子連れら約75人とウクライナから避難してきた3人が大きな画用紙にそれぞれ行ってみたい場所を描いた。ウクライナから避難中のアリサ・ボイチャクさん(5)は色とりどりのペンでハートマークや動物の絵を描いて「楽しかった」と笑顔を見せた。

黒一色の世界

2人がウクライナで開いたワークショップでは、戦争で甚大な被害を受けた東部マリウポリから避難してきた少年が黒一色の絵を描き、「僕の世界は今、この色です。他の色はない」と話したという。

日本で2人のイベントを主催した国際アートセラピー色彩心理協会の末永蒼生代表理事(79)は「絵には苦しい時に、その感情をはき出せる力がある。戦争の犠牲はいつも子ども。戦争は最大の児童虐待だ」と指摘。アンドリーさんは「日本の皆さんに、ウクライナの現状を直接話すことができて良かった」と話した。

赤に、白に、エールを!

運動会の準備が進んでいます。

5、6年生の応援係は、結団式をリードしました。

応援の掛け声の仕方や、

オリジナルの歌詞をつけた応援歌の振り付け、

勝負を大きく左右する大玉送りの作戦伝達など、練習は盛りだくさん。

そして、忘れてはならないのが「エールの交歓」です。

相手がいなければ、競技になりません。

だからこそ互いに敬意を示して、応援しあうのです。

「なんで相手にフレー、フレー、って応援するの?」

たしかに小さい学年の人たちには少し難しい考え方かもしれません。

でも、これからの練習で勝ったり負けたり、

喜んだり悔しがったりすることを重ねながら、

当日は心からのエールを届け合って、全力で運動会を楽しめると良いですね。

応援団の力作応援歌は、対抗競技開会式で披露されます。

保護者のみなさんも、どうぞお楽しみに。

中高グラウンドでの練習も始まっています。睡眠、食事、しっかりとって体調を整えましょう!

高校生による放課後企画~お姉さんたちが教えてくれたよ!~

前回に引き続き…

とある放課後の様子について、ご紹介します。

 

ドキドキとワクワクとが入り混じった表情でプレイルームに集まった1,2年生。

今日は、桐朋女子高校3年生のお姉さんたちが1,2年生に向けて遊びの企画をしてくれる日です。

くるくるレインボー、UFOキャッチャー、ポップアップカード、ぶんぶんごま、ふうせんスクイーズ、アルミホイルたまご…と名前を聞くだけで気になる遊びばかりが並んでいます。

 

1,2年生はそれぞれのブースにわかれてさっそく遊びを始めていきます。

  

 

「名前はなんていうの?」「どんなことをすることが好きなの?」

「わからない、こまったなというときには、こうするといいよ!」

お姉さんたちがやさしく声をかけてくれることで、さっきまでのドキドキしていた緊張感が、次第にワクワクへと変わっていきます。

 

そして、最後はニコニコ笑顔で。

じゃあねと手を振りながら、できあがった遊び道具を大切そうに抱えながら教室にかえっていく1,2年生がいました。

 

同じ敷地内にあのときのお姉さんがいる。

この出会いをきっかけに、また子どもたちのつながり・世界が広がっていきます。

 

 

来年は僕たちが!

さまざまな遊びと、自治の話題の続きです。

1学期末に行われた「児童会発表」。

主催は委員会の高学年なので、4年生は一番年上のお客さんです。

 

時間ぴったりに校内放送で流れ始めた音楽はまるで「ディズニーランドみたい!」

元気いっぱいに「いってくるね〜!」と飛び出していく姿に

4年生の楽しみな気持ちがひしひしと伝わってきました。

 

窓からは蝉の鳴く声も聞こえてきますが、それを凌いで聞こえてくるのは

子どもたちのわいわいとした声!

まるで雰囲気はお祭りでした。

 

高学年の委員会さんが企画してくれた企画ひとつひとつが

工夫に溢れていて

ただの「非日常」ではなく、一つ一つの活動に日々の生活とのつながり、伝えたいメッセージが感じられ

何よりも「楽しんでもらいたい」「自分たちが運営するのだ!」という雰囲気がところどころに伝わってきたのです。

 

待っているところの列ができるであろう壁には、

待ちの時も暇しないように委員会クイズが。

 

体を動かし、自然物にふれ、お化け屋敷では叫ぶだけではなく宝を探し、

本の世界に入り込み、素敵な賞状をもらったり「FUNフェス」と描かれた紙バックを嬉しそうにかけながら

「次何いく〜?」「1分も無駄にしたくない!」と話し合う子どもたちの声が

すれ違うたびに聞こえてきて

思わずにやにやが止まりませんでした。

 

夏空の下、グラウンドでは水をぱしゃぱしゃかけながら思いっきり駆け回る

さまざまな学年の子たちの姿。

参加した子たちも楽しむ姿勢は十分でしたが、何よりも高学年の運営の子たちの細かな工夫には

感動しっぱなしでした。

 

4年生の教室に帰ると、「みてみて〜!」と嬉しそうな子どもたち。

今年までたくさんもらってきた・やってきてもらったことを、

来年からは自分たちが「つくっていく」立場に変わる4年生。

 

不安も期待もあると思うけど

これだけ素敵な経験と高学年の子たちの立派な姿を見た4年生、

来年はどんな時間になるのか、何をしたいと願うのか、もう今から楽しみです。

 

ロマナ・ロマニーシンさんとアンドリー・レシヴさんの来校③ [Ⅱ-362]

9月22日、『戦争が町にやってくる』(ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作、金原瑞人訳、ブロンズ新社、2022年)に関わる人たちが桐朋小学校に来てくださり、6年生との授業をつくってくださいました。ありがとうございました。

今回は、事前に『戦争が町にやってくる』を読んだ6年生の人たちが感じたこと、考えたこと、『戦争が町にやってくる』をつくった理由、内容を紹介させていただきます。また、6年生とバーナーの2年生の人たちの様子も紹介させていただきます。

1、なぜこの絵本をつくったのでしょうか(*1)

著者のロマナさんとアンドリーさんが30歳の2014年、ロシアのクリミア侵攻がはじまりました。子どもたちのいる場所が爆撃をうけ、家をうしない、おおくのひとが亡くなるおそろしい日々でした。それまで、ウクライナには、戦争をテーマに親子でじっくり語る子どもの本がありませんでした。でも子どもたちには、いまこそ、そういう本が必要です。ならば作家である自分たちでつくるべきだという思いでつくった絵本でした。

2、どんな絵本でしょうか(*2)

ロンドという架空のうつくしい町がありました。風変わりな建物があり、町のひとびとは歌がだいすき。花たちまでも歌をうたいます。3人の主人公ダーンカ、ジールカ、ファビヤンの、平和にみちたロンドの暮らしに、ある日とつぜん、戦争がやってきて、町がつぎつぎにこわされていきます。3人は知恵をしぼって、町のひとたちといっしょに立ちむかいます。戦争がおわっても、傷はのこります。戦争はひとも町も変えてしまいます。平和とはなにか、戦争とはどういうことかを、まっすぐに伝えてくれる本です。

*1、2とも、『戦争が町にやってくる』に挟んであった<『戦争が町にやってくる』が生まれた背景について>より引用

3、絵本を読んだ6年生の人たちが感じたこと、考えたことから

  • ◆心に残ったことは「残念ですが、すべてがなおるわけではありません」という文です。戦争が終わって町の風景がよみがえっても、心の傷は治らないという事なんだなと思い、とても心に残りました。

 

  • ◆戦争は前へ進むばかりという言葉が心に残りました。今起きている戦争もまさにその言葉だと思いました。赤い花には深い意味がある事を初めて知りました。

 

  • ◆勝った後に、戻らないものもあるんだと気づきました。どこか心の中でもやもやしているんだと思います。それは今まで被爆体験をしてきた人も同じで、本の主人公たちも勝ってもあまりうれしくないんだと思います。

 

  • ◆日常がこわされてしまっても、日常を取り戻すために力を合わせて、傷ついても戦争をなくそうとしていた。戦争の傷は死ぬまで一生ひきずると思う。傷は怪我だけではなく大切な人が亡くなる、心の傷もあると思う。

 

  • ◆咲いた花の数が消えた人の数かもしれない。戦争はとても黒い物なんだとわかりました。みんなで照らせばみんなが歌う。そういうのが毎日だったらいいのに。

 

  • ◆ダーンカの心臓にできたひびと、ファビヤン、ジールカのとげがささったあとは、今の戦争を体験した人の気持ちなんだなと思いました。

 

  • ◆最近ユーチューブで、悪口ややってはいけないことを知らせてくれる動画がありました。悪口を言うと紙がくしゃくしゃになり、謝ると紙が元に戻る。しかし、紙にはまだしゃくしゃになったあとが残ってしまっている。これが悪いことや悪口を言ってはいけないということだと知り、同じだと感じました。

 

  • ◆この本では「いつも通り」という言葉が出てきました。今、ロシアとウクライナは戦争をしていますが、ウクライナも「いつも通り」の日常を過ごしていたら、急にロシアが攻め入って来てビックリしたと思います。戦争は言葉に表しても攻め入っている方には伝わらないと思いました。

 

  • ◆「戦争は誰一人も見逃しません」から、戦争はどんな人でも犠牲になるんだなと思った。平和の象徴として登場する「花」と「歌」が戦争でなくなり、赤いヒナゲシが残る。「ひび」や「こげあと」、「傷」から、戦争が終わった後の人々の心の中に残る深い傷が伝わってくる。

『戦争が町にやってくる』より撮らせていただきました 

  • ◆戦争で何もかも失われてしまった。全てが消えてしまう。そう考えた時、心がきゅうに暗くなりました。しかし、今もウクライナで続いている。そう考えただけで怖くなった。『戦争』は人類の過ちであり、一生向き合わなければならない課題の一つ。全世界に平和が訪れる時まで、僕は戦争について学び続けたい。

 

  • ◆温室にあった歌う植物の絵が好きです。あと、言葉で上手に言えないけど、「戦争には心ぞうも心もない」という文がぐっときました。

 

  • ◆「だけど全てはなおらなかった」という文が心に残った。

 

  • ◆ラストのページで、三人が傷ついていたこと。戦争が終わっても、人の傷、心の傷は治らないんだなって思いました。どうやったら、この傷をケアできるのか、もしも一生の傷になってしまったらと思うと、心が痛いです。

 

  • ◆明るかった町が暗くなるところ。楽しかった町が「戦争」がくるだけで、不安の声が出てきたり、町に人がいなくなってしまうというのが一番心に残ったし、戦争は自分たちの意思に関係なく起きてしまうのだと思いました。

 

  • ◆心に残ったことは、戦争の時であっても、みんなで力を合わせることが大切ということです。決して元通りになるわけではないけど、最後まであきらめてはいけないと思いました。

 

質問

  • ◇「光」という表現は、どういう意味で、どういう表し方なのですか?

 

  • ◇戦争は黒い花を植えるとかいてあったけど、それは何なのか?

 

  • ◇ひなげしの花の白やピンクはどんな意味を示すのかな?

 

  • ◇どういうおもいでこの本をかいたのですか?

 

  • ◇「戦争に勝った」という表現。戦争に「勝つ」ということは、一時的にでも心がホッとする安心することなのか? 「終わった」ではなく「勝った」と書いた理由は?

 

4、2年生の子どもたち

26日(火)、6年生とパートナーの2年生に、担任が22日の授業の記事(読売新聞朝刊)を紹介をしたそうです。2年生の人たちは、パートナー学年 6年生の授業であったこともあり、興味をもって担任の話を聞いたそうです。

記事を読み終え、担任が世界情勢の解説を加えたところ、「どうして戦争はおわらないの? 話し合えばいいのに」「他の国は間に入ってあげないの?」「日本はどんな考えなの? アメリカは? 中国は?」などの声があがったそうです。さらに「でもロシアとウクライナって、昔は一つの国(正確には連邦)だったんだよね?」「えー、そうなの」など話がひろがっていったそうです。

担任は、このような難しいテーマへの、子どもたちの関心の高さに驚かされたと言います。「昔、日本がしていた戦争では、たくさんの人が亡くなった。核兵器も使われて、子どもたちもたくさん亡くなっている。それなのに世界にはまだ戦争があるし、核兵器もたくさんある。人が亡くなっている。困っている子どもたちが大勢いる。大人たちが悪いんだ。責任を感じている」と、担任が話をしたら、子どもたちは「そうだ、ぞうだ。子どもだったら、戦争をするなんてことは、考えないはずだ!」の反応があったそうです。

走って、投げて、遊ぶ会

桐朋小学校では、放課後遊びの時間を大切にしています。

子どもたち同士がつながり合い、心身ともに思いっきり遊ぶことは、とても意味のある大事な体験です。

今回は、その放課後にどんな過ごし方をしているのか…ご紹介します。

 

とある雨の日。

自治活動の一環として、高学年の遊び企画委員会による「走って、投げて、遊ぶ会」が開催されました。

カードゲームや、オリジナルすごろく、玉入れなどの企画に次から次へと子どもたちが集まってきます。

 

少しほっこりするエピソードを一つ。

トランプのババを持っている2年生と、それを引くまいと真剣勝負する6年生の会話です。

2年生「真下か下かカードを選んで」

6年生「上がいい」

2年生「それはだめだから真下か下から選んで」

6年生「じゃあ、下!」

 

学年を越えて自然と生まれる関係性。

笑いの中に生まれるあたたかな空間。

勝っても負けてもなぜかみんな笑顔で終わる遊び。

 

遊びの楽しさ、遊びの力。

今日も子どもたちは豊かに遊びます。