投稿者: tohoblog
沖縄戦から78年と新教科書の採択 [Ⅱー350]
2024年度から小学校は新教科書に変わります。6~7月、本校ではそれぞれの教科でどの教科書を使用するか、子どもたちに配布する教科書をどれにするかを職員全員で検討しています。全ての教科書を見ながら話し合う過程を本校では大切にしています。
2022年度、6年生の「平和ポスター」と戦争と平和関連の読書記録
今回のコラムでは、沖縄戦と社会科6年教科書について、私が考えたことを書きます。
➀沖縄戦について
沖縄戦では、約16万5千人の戦没者(正確な人数は不明)、子どもの戦没者は7526人という記録があります。その要因として、アメリカ軍の攻撃、集団自決の多発、住民の虐殺、集団マラリア病死などがあります。
集団自決の根本には、帝国陸軍の「最後の一兵まで」という方針の徹底、住民の犠牲者が過半数を超えているという記録があります。教科書に掲載されているひめゆり学徒隊では、240名中生徒123人、職員13名が亡くなりました。そこには「最後は日本の国民らしく潔く果てよ」と教えられ、一人ずつ手榴弾、青酸カリを渡されたなどの記録もあります。(参照 村山士郎著『子どもたちが綴った戦争体験』4巻、2022年)
➁新教科書における沖縄戦に関する記述について
社会科新教科書は、3社から発行されています。「沖縄県読谷村などで起きた『集団自決』」は、「アメリカ軍の攻撃に追いつめられた住民には、集団で自決するなど、悲惨な事態が生じ」(T社)、「アメリカ軍の激しい攻撃に、追いつめられた住民のなかには、『集団自決』した人も多数いました」(N社)、「アメリカ軍の攻撃に追いつめられて、多くの住民が集団で死に追いこまれるできごとが起こりました」(K社)と書かれています。
どの教科書にも➀で書きました日本軍の関与については書かれていません。
毎日新聞では、「沖縄戦78年 6月23日は『慰霊の日』」のタイトルで、「来年度の小学校の社会科教科書で、沖縄戦に関する記述が後退」という内容を掲載しています。記事には、「『子どもと教科書全国ネット21』富山の世話人代表、松浦晴芳さんは、「沖縄戦の集団自決は、日本軍が降伏を許さず追い詰めたのが主な要因だが、その記述がなくなっている。本来住民を守るべき軍隊が実はそうではなかったというのは歴史が示している」と批判する」(6月22日記事)と書かれていました。
小学校社会科を発行する3社とも、「米軍の攻撃に追いつめられて「集団自決」が起こった」という趣旨の記述でした。歴史の事実として、「集団自決」への日本軍の強制または関与の事実を捉えること、そしてなぜそのようなことが起きたのかを考え合う必要があると思います。
こうした学び合いによって、2度とこのようなことがないように、私たちは現在と未来を築いていかなくてはならないと考えます。

1年生との交流会
「1年生にもっと遊びを楽しんでもらいたい!」
そんな子どもたちの思いから、先日、2年生と1年生の交流会が行われました。

2年生は1年生を楽しませてあげたい!とたくさんの時間をかけ、準備をしてきました。
本番、いつもなら遊びに飛び出していくのに、この日は休み時間も1年生のために準備をしています。
ドキドキしながら1年生を迎えた2年生。
声をかけながら、時には教えてあげ、時には一緒にあそびながら交流をしていきます。
その中で2年生が書いた作文です。
きょう1年生をたのしませる会をやったよ。めっちゃたのしかったよ。わたしは、おりがみだったよ。つるだったからみんなしっている人が多いからこないとおもっていたらいっぱいきたよ。しらない人もいたよ。とってもたのしかったよ。
きょう、1年生をたのしませる会をやってたのしかったです。ぼくは、こまをやって、いがいとにんきでうれしかったよ。あと1ばんうれしいっておもったときは1年生がさいごに、こまがたのしかったっていってくれたのがうれしかったです。

終わったあと、2年生の中にはもう次のイベントを考えている子も。
一緒に時間を過ごす中で感じる喜び、感動は宝物です。
1年生も今回感じた「たのしかった!」を、自分たちが2年生になったときに思い出して、やってあげたくなる。そうやって、バトンが繋がれていくのです。
物と現象と仲間と…対話しながら深く学ぶ
5年生の理科では、「温度と物の変化」という学習を進めています。
今回は、三角フラスコに入れた水を熱湯(氷水)につけるという実験をしました。
手で温めるだけでも、フラスコ内の水が膨張することを経験した子どもたち。
「熱湯につけたら液面が一気に上がるにきまってる!」
「ガラス管から水がとび出るんじゃない?」
「手で温めたときよりも、水が膨張しそう!」
そこで、実際に実験してみると…
温められた水の液面が一瞬下がってから、上がりました。
※見やすくするために、色をつけています。純粋な水でも同じ結果です。
「えー?!」
「熱湯につけたのに、なんで一度下がるの?」
「水もいっしゅんびっくりしたから縮んだのか?」
この謎現象を解明すべく、子どもたち同士で一生懸命に考えを出し合います。
(子どもたちのかしこさに、びっくり!)


物と現象と仲間と…じっくり対話することで見えてくる。
ヒントは、水だけにとらわれないこと?
ガラス(三角フラスコ)に秘密がある?
答えは、次の授業で・・・
土曜参観について
久しぶりの全校での開催につきまして、以下の点をご確認ください。
①正門から構内に進む際、記名済みのIDカードを見える場所に着けてください。
②正門付近の受付で、IDカードを提示してください。
③参観中の撮影・録画は一切禁止します。
④各クラスからのお便りを再度お読みいただき、スムーズな進行にご協力ください。
※6年生は学年ページもご確認ください。
保護者のみなさまのお越しをお待ちしております。
教務
雨の日に聴く「すばなし」
梅雨まっさかり。
自然の営みとはいえ、雨が続くとちょっと退屈です。
そんな時は読書が一番!
先日の3年生の図書の時間は、おはなし会でした。
「すばなし桐」のみなさんが、語り継がれてきた世界のお話しを昔ながらのやり方で語ってくださいます。
24人の低学年クラスは図書室のじゅうたん敷きのコーナーで聴きますが、人数の多い高学年は多目的室で行います。

『うりひめ』は日本のむかしばなし。繰り返される歌の節回しが心地よく、すっと耳に入ってきます。
『七わのからす』はドイツのお話。直前の音楽の授業でドイツの歌を習ったばかりだったので、うれしい偶然です。クライマックスが近づくにつれて、どきどきが高まる様子がありました。


この日の語り手は、お二人とも元保護者です。
「お子さんたちは、おいくつに?」と伺うと、みなさんとっくに成人されたとのこと。
時のはやさにびっくりしました。
卒業後もずっと桐朋小学校に関わってくださることに、あらためて感謝します。
これからも、どうぞよろしくお願いします。

音楽をみんなで楽しむ ―現在を大切に生きること [Ⅱ-349]
ゆり組みんなで音楽を楽しんだあとに、さらにやりたい人たちが歌い、合奏をしました。

そこに、ばら組、たんぽぽ組の人たちが保育者とともにやってきて、いっしょに楽しみました。音楽に合わせて演奏したり、歌ったり、いきいきした表情で楽しそうでした。
私は、その後に、2023年4月に行った座談会を思い出しました。座談会の中で、小林弘美さんが「遊びの中での音楽を楽しむことが、本来の音を楽しんでいる音楽の原点のような様子でした」、「子どもは大人が考える以上に、イメージの広がりっていうのはすごくあるなといつも驚かされました。この曲に合うのはこの楽器だから出してくれとか。子どもに任せてみたら思いのよらないものが出来上がったりしました。/周りにいる子どもが『なにかやってる』と見に来たり、仲間に入れてもらったり、他のクラスの保育者も何か面白そうなのをやってるからと聞かせてもらおうと言って、子どもたち連れて来てくれたり」と発言されていました。このようなことが幼稚園の日常で大切にされていることを実感しました。

ゆり組(5歳)の部屋に、ばら組(4歳)とたんぽぽ組(3歳)の人たちが集まってきて
それから「集まった子どももすごく楽しそうにしてるけど、やっている本人たちが一番満足している。人に見てもらったり、拍手をしてもらったり、自分たちのアイディアを認めてもらったりする経験が大事なんだな」と話してくださったことを大切に感じました。
2020年度から本園に来てくださっている今川恭子教授(聖心女子大)は、桐朋幼稚園のことを「子どもの遊びの中から出てくるものを受け入れている、受け入れたところから共につくっていくということをやっているんじゃないかということ。子どもたちは日々の生活の中で、自分の身の回りと相互作用しながらいろんなことを芽生えさせているわけなんですね。その芽生えを見つけて、『こっちへ行くともっと素敵だよ』とか、『こうするともっとかっこよくなるよ』とか保育者が示すのを受けて、『ああそうか』って子どもたちがそっちに向かっていく。そのような在り方が文化的な実践者として先を歩いている大人の責任だと思うんです。そうしながら、子どもたちが何かつくっていくのを一緒に楽しめる存在が保育者であ」ると述べていたことも思い出しました。

プレイルームで3歳の人たちが音楽を楽しむ様子。右写真で、座っている人たちは、カスタネットを鳴らしています
現在をいきいきと生きる、その豊かさを感じた時空間とまじわりがこの場にあったのです。
明日(6月17日)の説明・見学会について
お申し込みくださった皆様
6月17日(土)の説明・見学会は、予定通り実施します。
受付票にご記入の上、
本学園正門(横断歩道あり)から、各受付にお進みください。
3つのコースがあります。お間違えのないようお願いします。
◯見学のみ ⇨ 担当教員が小グループで校舎をご案内します。
◯ショート説明会+見学 ⇨受付で配布するA〜Gの指定エリアにご着席ください。
◯ショート説明会のみ ⇨ホール舞台に向かって左手の席をご利用ください。
【お願い】
・早すぎるご到着はご遠慮ください。(受付が大変混乱します。)
・ご見学の際は上履きをお持ちください。
・軽装でお越しください。担当教員も熱中症対策をしてご案内いたします。
・本年度資料の配布は各家庭一部です。ご請求済みの方はお持ちください。
・ご参加後、WEBアンケートをご送信ください。
お目にかかれますことを楽しみに、お待ち申し上げます。
教務
6年生、七頭舞を学ぶ!
6年生の体育では、運動会に向けて七頭舞の練習をすすめています。
最高学年の民舞だけあって、一筋縄ではいかないちょっと難しめな踊りです。
「低学年の時からの憧れの踊りを今、習えているのがうれしい。」
「自分もかっこよく踊りたい。」
授業の後にこんな感想を書いている人がいました。憧れの踊りだった七頭舞が、今度は自分が下級生に憧れられる側になるんだね。放課後にプレイルームで、コツコツ自主的に練習している人もいます。

先日、七頭舞保存会の方や踊り手の方に来ていただいて、直接踊りを学ぶ機会がありました。
足のさばき方から、構える姿勢、声の出し方など、所作一つひとつがきりっとしていて、メリハリがある本場の踊りを体感することが出来ました。
「七頭舞で本物の人たちが来た。もちろんおどりもすごかったけれど、それ以上に伝わってきたのが、かっこよく、しんけんにおどるという意志や、上手におどってほしいという気持ち!練習の時、一回一回本当に本気なんだろうな~。道具のあつかい方もていねい!」
「教え方が分かりやすくて、できるようになった。かっこよく、あんなふうに踊りたい。」
本場の踊りを見て、自分の動きをたしかめて、その場で修正し、さらに声をかけてもらえる貴重な時間となりました。
こうして直接学ぶことを引き続き大事にして行きたいです。

6年生、引き続き「三足」(←七頭舞の踊りの一つ)もがんばろう!
「いざ」というときのために
先日、全校(小中高全体)で避難訓練が実施されました。
地震のあとに火災が起きたことを想定し、自分がどう避難するか考えます。

訓練中は「お・か・し・も」の約束を一人ひとりが守り、真剣に取り組んでいました。
そんな子どもたちの姿勢を見て、消防署の方からも、「大変よくできていた」とおっしゃっていただきました。

授業中、休み時間どこかで遊んでいる時、放課後、登下校中…
「いざ」という時はいつやって来るのか、誰にもわかりません。
だからこそ、命を守るためにどうしたらよいのかをいつも考えておくこと、イメージしておくこと。
学校のみんなで共有したり、日ごろから家族と話しておくことも忘れずに。
訓練でよくできるをあたりまえにしていこう。
一人ひとりの命を守るためになにが大切か、これからも考えつづけていきます。
学園のつながり [Ⅱー348]
(1)桐朋学園小学校6年生との交歓会
毎年、桐朋学園男子部門の桐朋学園小学校6年生と桐朋学園女子部門の本校6年生(どちらも共学)が交流と親睦をはかる交歓会をしています。今年は、国立の桐朋学園小へ伺いました。6年生の皆さんと先生方が準備をして、迎えてくださいました。
前日から雨が降り、外での活動ができるかどうか、ぎりぎりまで検討されたそうです。晴れと雨の場合の両方を準備するのはとてもたいへんです。桐朋学園小の皆さん、ありがとうございました。国立に向かう時間には雨はあがり、予定していたドッジボール、鬼ごっこ、バドミントン、バスケットボール、ボードゲームのアクティビティができました。
私はボードゲームに付き添いましたが、たのしくて声を発する、豊かな表情が見られるなど、参加した人たちが新たな出あいをたのしみ、いろいろと表出していてあたたかなかかわりを感じていました。終わりの集まりの感想にもありましたが、とてもたのしい時間でした。
感想を言ってくれた人たちから、桐朋学園小の人たちはドッチボールが強かった、グランドには鉄棒の種類が多くあった、両校の先生たちの雰囲気が似ているなどありました。廊下の作品の良さや校舎の広さ、新しさに羨ましいという声もありました。
両校の人たちが、これからも日々を大切に過ごして、再会をたのしみにしたいと思いました。桐朋学園小学校の皆さん、お世話になり、ありがとうございました。
桐朋学園小の玄関前、さつきも姿を見せてくれました
さらに、学園のつながりに触れたいと思います。
(2)桐朋女子中学高校生とのふれあい実習
1989年よりはじまりました。「自己を取り巻く様々な人たちの存在を知り、多様な人間関係を築きながら生きていくために様々なコミュニケーションスキルやコミュニケーションの大切さについて学習する」(中高)場として続いています。同じキャンパスで初等部と中高部が連携を取り、児童、生徒の成長を見守る姿勢があるからこそ、長きにわたり実践ができています。
初等部の低学年の人たちと中高生の人たちが出会い、いっしょに過ごすことでつながりが生まれています。小学生の時の「ふれあい」で中学生からいただいた手紙を、自分が中高生になっても大事にもっている人もいます。

(3)桐朋学園大学音楽学部*ホールで演奏を聴く
昨年度は、大学のホールで演奏を聴きました。目の前ですばらしい演奏を聴いてたいへん感動しました。毎年お世話になっている合田先生より、「このように学生たちが学んでいる現場に足を運んでもらうことで、より近くで楽器を見て操作の動きを見て、楽器から出てくる音を感じてもらうことができます。」「小学生にとっても、大学に来るのは少し大人の世界をのぞいてみるという特別な感覚があるのではないでしょうか。今後も、仙川の小学校を卒業するまでに一度は生の音楽を味わえるような交流が続けられるといいですね。」などと話してくださったことを思い出します。

*音楽部門は、戦後復興の希望を子どもたちの無限の想像力に見出した斎藤秀雄氏、井口基成氏らの「子どものための音楽教室」(1948年)にはじまります。子どもたちの成長に合わせて学校が必要となり、1952年、桐朋女子高等学校普通科に音楽科(共学)が併設され、その後、桐朋学園大学音楽学部を開設しました。自由で豊かな感性を持つ個性のある音楽家の育成、音楽教育における社会貢献、世界における音楽文化の創造を掲げて発展し、小澤征爾氏をはじめ、多数の音楽家を輩出してきました。